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HIV感染の現状は?

正しい知識と情報を持って

一昔前、HIV感染は命に関わる病気だと考えられていました。現在は薬の開発も進み、ほとんどの人が症状をコントロールしながら日常生活を送っています。しかし、その一方で、若い世代のHIV感染者が増加しているという現実もあります。HIV(エイズウイルス)を含む血液、精液、腟分泌液、母乳といった体液が、相手の粘膜部分(主に口の中、ペニス、尿道、腟、直腸など)や傷口などに接触することで、感染の可能性が出てきます。汗、涙、唾液、尿、便などの体液の接触による感染の可能性はありません。不特定多数の人とのセックスや注射の使い回しなどで起こるリスクがあることを十分知っておいてください。

◆厚生労働省が発表した「平成26年度エイズ発症動向年報」によると、HIV感染者の新規報告数は1091人でした。そのうち20代は349人、30代は347人。若い世代でのHIV感染者の増加と、20代が30代を初めて上回ったことが報告されています。また、エイズを発症した患者は455人で、2008年以降横ばい傾向であることがわかります。

◆HIVとは、ヒト免疫不全ウイルスのこと。感染すると、2〜4週間ほどでウイルスが急激に増殖します。症状としては、発熱、だるさ、のどの痛み、下痢などがみられます。これらの症状は数日から数週間程度で治まり、その後しばらく無症状の期間(無症候性キャリア期)が続きます。

◆無症候性キャリア期は、長い人で15年、短くて2〜3年と個人差があります。治療をせず放置したままでいると徐々に免疫力は低下、長期に渡る下痢や体重減少などの症状が出始め、やがて感染症や腫瘍を発症(エイズ期)します。

◆エイズ診断の指標とされている病気は23種類。例えば、カンジダ症、ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染症、カポジ肉腫、非ホジキンリンパ腫、HIV消耗性症候群など。HIV感染者がひとつでも発症した場合にエイズと診断されます。

◆エイズ発症を防ぐためにも、HIV感染の早期治療は重要です。抗HIV薬でウイルスの増殖を抑え、免疫力を維持します。以前は1〜2種類の内服が主流でしたが、すぐにウイルス耐性ができるという問題がありました。現在は3種類以上の薬を組み合わせる多剤併用療法が行われ、飛躍的に治療効果が上がることがわかっています。ただし、薬ではウイルスを完全に排除することはできません。決められた処方を守り一生飲み続けることが必要となります。

◆HIVを根治するために、日々研究が進められています。「キメラ抗原受容体」による治療もその中のひとつです。キメラ抗原受容体とは、HIVに感染した細胞を攻撃するように作られたタンパク質の一種。ウイルスを体内から排除する可能性があるとして、米国の研究グループが報告しています。現時点ではネズミによる実験段階ですが、人体への実用化が待たれるところです。

◆薬で症状をコントロールできるようなったとはいえ、進行すれば命に関わる病気であることには変わりはありません。大事なのは感染を防ぐこと。HIVについて正しい知識を身につけておきましょう。そして感染が疑われる場合は、速やかに検査を受けることが重要です。

(監修:虎の門病院 内分泌代謝科医長 宮川めぐみ/2016年3月15日)

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