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虐待の背景にある「望まない妊娠」

早く専門家や医師に相談を

悲惨な事件が報道されることも多く、大きな社会問題となっている子どもの虐待死。貧困やDV(家庭内暴力)、母親の孤立など、背景にあるさまざまな事情のなかで、多くのケースに共通する「望まない妊娠」の問題をクローズアップ。望まない妊娠をした女性を支援する取り組みや、当事者が相談できる窓口も紹介します。

◆厚生労働省では、2005年から毎年、自治体の報告をもとに子どもの虐待による死亡事例を検証し、結果を公表しています。それによると、2014年度中に虐待死と確認できた18歳未満の子どもは44人(無理心中のケースを除く)。0歳児が6割以上を占め、そのうち半数以上は生後すぐに亡くなりました。また、およそ9割の39人が3歳までに亡くなっています。

◆亡くなった44人の子どもたちの実母に、どのような問題を抱えていたのか複数回答で聞いたところ、5割以上が「望まない妊娠」を挙げました。また、そのうち28人が虐待のおもな加害者だったことも報告されています。

◆こうしたデータから、望まない妊娠をした女性が、誰にも相談できないまま出産して赤ちゃんの養育を放棄する、産みたくなかった子どもの育児に追われるストレスのなかで虐待をエスカレートさせるといった実情が浮かび上がってきます。

◆望まない妊娠をした女性は、男性からの暴力やネグレクト(育児放棄)などの被害者である人が少なくありません。そうした女性は孤立しがちなので、子どもの存在を一人で背負い切れず今度は加害者になってしまう……という皮肉で悲しいケースが後を絶たないのです。

◆乳幼児の虐待死を防ぐため、厚生労働省では望まない妊娠をして悩む女性の支援事業を始めます。2017年度から、まずは10の自治体でモデル事業に取り組むことになっています。

◆この事業は、児童虐待の問題に対応できる児童福祉司や社会福祉士を、妊婦との接点が多い産院や助産所のほか、支援が必要な母子を受け入れる母子生活支援施設などに常駐させるというもの。専門職スタッフが悩みを抱える妊婦の相談相手になることで、早期に適切な支援を行うことが可能になります。

◆妊婦になると、ホルモンバランスの変動などにより不安や心配が募りがちです。まして望まない妊娠となれば、相手の男性やお金の問題をどうするか、中絶するべきか否かなど、さまざまな葛藤を抱え押しつぶされそうになるでしょう。そうした妊婦のための相談窓口が、数多く存在します。

◆まず、“赤ちゃんポスト”として話題になった熊本県の慈恵病院が運営する「こうのとりのゆりかご」。24時間対応の電話相談やホームページからのメール相談を受け付けています(HP:http://jikei-hp.or.jp/cradle-of-the-stork1/)。また、相談することができず、育てられない事情もある母親は、匿名で子どもを預けることができます。

◆「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」は、行政と医療機関が連携して望まない妊娠をした女性と、生まれてくる赤ちゃんをサポートするネットワーク。望まない妊娠をした女性、出産しても育てられない可能性がある女性は、電話やメールで相談することができます(HP:http://anshin-hahatoko.jp/)。また、特別養子縁組の支援も行っています。

◆下記の各団体でも、電話やメールでの相談を受け付けています。
「にんしんSOS東京」東京の助産師、社会福祉士によって立ち上げ、望まない妊娠に悩む女性を支援(HP:https://ninshinsos-tokyo.com/what.html)。
「妊娠相談ほっとライン」東京都の相談窓口(HP:http://www.ninken.metro.tokyo.jp)。
「にんしんSOS」大阪府の相談窓口(HP:http://www.ninshinsos.com/index.html)。

◆ほかに、各自治体の保健師の相談、子育て相談なども利用できます。もし、望まない妊娠をして悩んでいるのなら、ここで紹介した施設や団体を利用するなどして、できるだけ早く専門家や医師に相談してください。

(監修:よしの女性診療所所長 吉野一枝/2017年1月6日)

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