モバイルサイト「ケータイ家庭の医学」はこちら!
http://sp.kateinoigaku.ne.jp/

がん治療と妊娠・・・卵巣バンクとは

妊孕性温存療法って

女児や若い女性が、がんに罹患した場合、化学療法やホルモン療法などによって、将来の妊娠の機会を奪われることもないとはいえません。その心配を軽減し、安心して治療に専念できる方法として、妊孕性温存療法(卵巣組織凍結)があります。日本でも「卵巣バンク」といったネットワークが構築されました。

◆現在、不妊治療の現場では、若い頃に採取した元気な卵子を凍結保存し、妊娠を望むときに顕微授精させて体内に戻すといった治療が、一部の機関ですでに行われています。「妊孕性(にんようせい)温存療法」は、それをさらに進め、卵子を含む「卵巣」(片側、もしくは卵巣組織の一部)を凍結保存するものです。

◆これにより、抗がん剤による化学療法やホルモン療法、放射線療法などが必要な患者さんでも、治療後に温存していた卵巣組織を戻すことで、妊娠への悪影響が少なくなると考えられます。女児や若い女性でも、安心してがん治療に専念できることが期待されます。

◆2016年、日本で初めて「卵巣バンク」が設立されました。卵巣凍結を導入しているのは、大学病院など全国15施設で、保存を4施設で担います。対象は37歳以下のがん患者に限り、将来の妊娠・出産に備える健康な女性には実施していません。保存費用は年間約10万円程度かかる見込みです。

◆「妊孕性(にんようせい)温存療法」のメリットは、卵子凍結に比べ保存できる卵子の数が圧倒的に多いことがあげられます。また、卵子凍結での採卵は、月経周期に左右されたり、排卵誘発剤が必要だったりすることもあります。しかし、卵巣組織凍結ではそれらがなく、短期間で保存が完了します。

◆逆に大きなデメリットも考えられます。それは、がんの再発です。万一、凍結した卵巣組織に少しでもがんの転移があった場合、卵巣組織を戻すことによって、再びがん細胞を体に戻してしまうことになりかねません。とくに白血病や卵巣がんの患者さんには、がん細胞混入のリスクの高さから、卵巣組織凍結や移植は推奨されていません。

◆また、米国生殖医学会(ASRM)が示した2014年のガイドラインでは「試験的な治療法」とされており、「現時点では、採卵行為ができない小児から思春期までの患者のみに適応である」と考えられています。

◆とはいえ「いつかは子どもを産みたい」という女性にとっては大きな希望となります。妊娠・出産の可能性が残ることは、大いに治療の励みになると期待が寄せられており、今後の動向が注目されます。

(監修:目黒西口クリニック院長 南雲久美子/2017年3月13日)

気になる身体の症状を
◆チェック◆
症状チェック 食事記録 お薬検索 病気検索

『家庭の医学』

1969年の発行以来、
累計約330万部の
ロングセラーの最新版

総監修:聖路加国際病院院長
福井次矢

信頼の『家庭の医学』最新版を
iPhoneアプリにギュッと凝縮!


外出先でのアクシデントの際にも活躍!


はい、いいえで答えるだけで、気に
なる症状の対処方法がわかる!

実例からみる対応法

擬態うつ病/新型うつ病

それって、うつ病?話題の「擬態うつ病」を徹底紹介
著:精神科医 林公一
定価1,620円(本体1,500円)

お医者さんの話がよくわかるから安心できる

「乳がん」と言われたら…

手術後の再発を防ぐ治療や、手術前の生活を取り戻すためのリハビリまで解説
著:聖路加国際病院ブレストセンター長・乳腺外科部長 中村清吾
定価1,620円(本体1,500円)

感性豊かで「幸せ」な子どもに育つ

アタッチメントベビーマッサージ

発達心理学の観点から、お母さんと赤ちゃんのアタッチメント(愛着関係)をしっかり作り、情緒豊かな「幸せな子ども」に育てるためのベビーマッサージを紹介
著:(社)日本アタッチメント育児協会 代表理事 廣島大三、寺下謙三クリニック院長 寺下謙三
定価1,296円(本体1,200円)