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がんの合併症、トルソー症候群とは

がん治療中は脱水症状に注意

がんを発症すると脳梗塞を起こしやすくなることをご存じですか。その理由のひとつに、がん細胞が分泌する物質によって血液がかたまりやすくなることがあげられます。このかたまった血液(血栓)によって引き起こされる脳梗塞を「トルソー症候群」と呼びます。いったいどのような病気なのでしょうか。

◆がんを発症すると、がん細胞が分泌するムチンやサイトカインなどの物質によって、血栓ができやすくなります。この血液や心臓内にできた血栓が、血液の流れにのって脳の血管に詰まり、脳梗塞を引き起こす場合があるのです。これを「トルソー症候群」といいます。

◆がんよりも速いスピードで血栓ができることもあるので、がん発症に気づく前にトルソー症候群を引き起こすケースも少なくありません。また、がん治療中に脳梗塞を発症した人の4人に1人がトルソー症候群だったという報告もあります。

◆トルソー症候群は、子宮頸がん、卵巣がん、乳がんなど、女性特有のがんに伴って発症しやすいといわれます。そのほか、肺がん、消化器がん、腎臓がん、前立腺がんに合併する場合もあります。

◆治療は血液をかたまりにくくする抗凝固療法が基本になります。ワルファリンが古くから使われてきましたが、量の調節が難しいため、最近では直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が広く使われるようになりました。また、ワルファリンを服用中は、納豆、青汁などビタミンKが含まれる食品は摂取できませんが、DOACの服用による食事制限はありません。

◆治療によってがん細胞が減っていけば、血液がかたまることも少なくなるので、トルソー症候群のリスクも減ってきます。まずは、がんの治療をしっかり行うことが、トルソー症候群のような合併症の予防につながります。

◆また、脱水症状が続くと、血液がかたまりやすい状態になります。化学療法などの副作用によって、食欲がない、あるいは頻繁に吐き気が起こるようなときは、脱水症状を起こしやすくなります。がん治療中は、水分が不足しないようにすることが重要です。

(監修:東京医科大学病院 総合診療科准教授 原田芳巳/2017年5月29日)

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