モバイルサイト「ケータイ家庭の医学」はこちら!
http://sp.kateinoigaku.ne.jp/

関節に痛みの発作…偽痛風って

変形性関節症との関係も

関節の激痛発作といえば痛風を思い浮かべますが、偽痛風(ぎつうふう)と呼ばれるCPPDでも同じような関節の痛みが起こります。とくに変形性関節症を伴う場合は、関節の変形を促進してしまうことがあるので要注意です。

◆「偽痛風」と呼ばれる病気をご存じですか。正式にはピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD)という病気で、ピロリン酸カルシウムという物質の結晶が関節の中に少しずつたまり、炎症(関節炎)を引き起こすものです。

◆痛風では、足の親指のつけ根の関節に、「風が吹いても痛い」といわれる激痛発作が生じることが知られていますが、ひざや手指の関節にも起こります。一方、CPPDではよく似た痛みの発作が、おもにひざや手の関節に現れます。急に痛風のような激しい痛みに襲われることから、偽痛風と呼ばれています。

◆痛風患者の多くは男性ですが、CPPDは男女差がなく、60歳以上の高齢者に多く見られます。60歳の有病率は7〜10%、65〜75歳で10〜15%、85歳以上で30〜50%にものぼり、多くの高齢者が経験します。

◆加齢が原因の一つとして挙げられますが、詳しい発生原因はわかっていません。55歳以下の患者では、代謝異常や遺伝などが要因として考えられています。

◆CPPDで関節にたまるピロリン酸カルシウムとは、ピロリン酸という物質とカルシウムが結びついたもの。ピロリン酸は肝臓や軟骨でつくられ、軟骨などが石灰化(カルシウムが沈着する状態)するのを防いでいますが、過剰になると石灰化を進めてしまうことがわかっています。

◆診断は、エックス線検査、関節エコー、関節液をとって結晶の有無を調べる検査などが行われます。関節リウマチや変形性関節症など、他の病気を除外するための検査も行い、関節の手術歴の有無も確認します。

◆CPPDは病態によっていくつかのタイプに分けられます。もっとも多いのが約50%を占める無症候性タイプで、このタイプでは軟骨の石灰化は見られますが、特に症状はありません。治療の必要はなく、経過観察がすすめられます。

◆痛風のように痛みの発作が現れるものが「偽痛風」と呼ばれるタイプで、約25%を占めます。ひざにもっとも起こりやすく、そのほか、手、足、肩、ひじ、股関節などにもみられます。痛みの強い発作時と、おさまると痛みがまったくない時期がある間欠性が特徴です。

◆関節に結晶が沈着したために「変形性関節症」を伴うタイプもあります。痛みのないタイプと、一過性の激しい痛みが起こるものに分けられます。

◆そのほか、複数の関節に1か月から数か月にわたって炎症が続く、偽関節リウマチといわれるタイプもあります。

◆残念ながら、現時点では根治的な治療法はありません。痛みや炎症を抑える対症療法を中心に行います。消炎鎮痛薬の服用、痛む関節に直接ステロイド薬を注入する、ステロイド薬を内服するなどが、痛みの程度によって段階的に用いられます。また、関節にたまった水を抜く穿刺・排液も症状の緩和に有効です。

◆しかし、これらの治療で症状の改善がみられない場合は、外科的な治療法も考慮されます。結晶を除去する関節内の洗浄や、関節の変形が進んでいるケースには人工関節置換術も行われます。

◆CPPDはひざなどの変形性関節症(OA)との密接な関係が指摘されています。CPPDとOAは必ずしも併発するわけではありませんが、OAがあると、CPPDによって関節の破壊などの症状が促進されることがわかっています。

◆痛風のような痛みの発作が起こったら、まず大切なのは、痛風や関節リウマチ、変形性関節症などとの鑑別診断です。整形外科専門医を受診することをおすすめします。また、症状がおさまった後も、関節の変化や症状の経過を、医師のもとでしっかり観察していく必要があります。

(監修:あそうクリニック院長 麻生伸一/2017年7月19日)

気になる身体の症状を
◆チェック◆
症状チェック 食事記録 お薬検索 病気検索

『家庭の医学』

1969年の発行以来、
累計約330万部の
ロングセラーの最新版

総監修:聖路加国際病院院長
福井次矢

信頼の『家庭の医学』最新版を
iPhoneアプリにギュッと凝縮!


外出先でのアクシデントの際にも活躍!


はい、いいえで答えるだけで、気に
なる症状の対処方法がわかる!

1日数行で心をたてなおす

森田式ダイアリーのすすめ

神経症や心身症の苦しみを、自学自修の日記療法で克服する
著:林内科クリニック院長 林吉夫
定価1,512円(本体1,400円)

お医者さんの話がよくわかるから安心できる

「膵がん」と言われたら・・・

膵がんの診断と治療についてわかりやすく解説
著:杏林大学学長・同大学名誉教授 跡見裕 / 杏林大学医学部消化器・一般外科准教授 阿部展次
定価1,620円(本体1,500円)

専門のお医者さんが語るQ&Aシリーズ

甲状腺の病気

進歩した薬物療法、放射線療法、外科療法の情報を紹介
著:東京女子医科大学内分泌疾患総合医療センター内科・大学院教授 佐藤幹二
定価1,458円(本体1,350円)