モバイルサイト「ケータイ家庭の医学」はこちら!
http://sp.kateinoigaku.ne.jp/

老化が急速に進む病気とは

まれな遺伝性疾患

本来、中高年になってから体に起きる老化に伴う症状が、若くして始まり、急速に進んでいく病気がウェルナー症候群です。早老症ともいわれるまれな病気ですが、報告例の約6割が日本人という点で注目されています。

◆ウェルナー症候群は、1904年ドイツの医師オットー・ウェルナーによって初めて報告された常染色体劣性の遺伝性疾患。20代での発症が多く、初期の典型的な症状として、白髪、脱毛、皮膚が硬くなる、シワが多くなる、傷が治りにくい、手足の筋肉がやせて細くなる、といったように、見た目の老化が実年齢より早く進みます。

◆症状は見た目ばかりでなく、多くは30代になるとコレステロールや中性脂肪、血糖値の上昇、白内障、骨粗しょう症、性腺機能の低下、といった本来なら中高年になってから起きてくる体内の老化が始まります。さらに、特徴的な変化として、アキレス腱等の石灰化があります。糖尿病や悪性腫瘍(非上皮性腫瘍、甲状腺がん)、動脈硬化症などにもかかりやすくなりますが、認知症の発症はほとんど報告されていません。

◆ほかに甲高いしわがれ声になる、低身長、鳥様顔貌(ちょうようがんぼう/とがった鼻と目が飛び出しているような顔つき)なども特徴ある症状といわれます。

◆ウェルナー症候群の原因は、WRNという遺伝子の異常だと考えられています。遺伝性の病気といえますが、WRN遺伝子の1つに異常があっても発病はしません。ヒトは両親からもらった遺伝子を1対(2個)ずつもっています。その両方に異常があった場合に発病すると考えられています。

◆1つの異常な遺伝子を持っているものの、発病していない人をキャリアといいます。両親ともにキャリアの場合、受精の時にそれぞれ25%の確率で遺伝を受け継ぐので、兄弟姉妹に関しては4人に1人の確率で発病する可能性があります。キャリアになるのは50%の確率なので4人に2人、発病もせずキャリアにもならない子どもは4人に1人ということになります。

◆WRN遺伝子変異は、発病者の9割に認められます。キャリアかどうかは遺伝子検査でわかりますが、検査はまだ一般的には行われておらず研究目的でのみ行われている段階です。

◆かつてはいとこ婚など近親婚が多い地域で多く報告されてきましたが、近年は近親婚以外による症例も増加しています。なぜ日本人に多いのか、民族的、環境的要因があるかなどもわかっていません。

◆いまだ根本的な治療法はなく、症状に応じた対症療法を行います。治りにくい傷(難治性皮膚潰瘍)に対しては、消毒・保護などを行って悪化を防ぎ、白内障、糖尿病、脂質異常症、悪性腫瘍などについては投薬や手術などが行われます。

◆かつては発病者の多くは40代で、悪性腫瘍や心筋梗塞などで亡くなっていました。しかし、現代では治療法が進歩し、50〜60代まで寿命が延びています。遺伝子レベルでの研究や治療も進んでおり、今後の原因解明、治療法の確立が待たれます。

(監修:医療法人社団秀志会 松平小児科院長 松平隆光/2017年8月2日)

気になる身体の症状を
◆チェック◆
症状チェック 食事記録 お薬検索 病気検索

『家庭の医学』

1969年の発行以来、
累計約330万部の
ロングセラーの最新版

総監修:聖路加国際病院院長
福井次矢

信頼の『家庭の医学』最新版を
iPhoneアプリにギュッと凝縮!


外出先でのアクシデントの際にも活躍!


はい、いいえで答えるだけで、気に
なる症状の対処方法がわかる!

1日数行で心をたてなおす

森田式ダイアリーのすすめ

神経症や心身症の苦しみを、自学自修の日記療法で克服する
著:林内科クリニック院長 林吉夫
定価1,512円(本体1,400円)

お医者さんの話がよくわかるから安心できる

「膵がん」と言われたら・・・

膵がんの診断と治療についてわかりやすく解説
著:杏林大学学長・同大学名誉教授 跡見裕 / 杏林大学医学部消化器・一般外科准教授 阿部展次
定価1,620円(本体1,500円)

専門のお医者さんが語るQ&Aシリーズ

甲状腺の病気

進歩した薬物療法、放射線療法、外科療法の情報を紹介
著:東京女子医科大学内分泌疾患総合医療センター内科・大学院教授 佐藤幹二
定価1,458円(本体1,350円)