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国内初の便失禁ガイドラインが完成

初期的な治療で効果が

便失禁は不意に、または無意識に便がもれてしまう症状で、悩んでいる人は実は多く、全国に500万人程度いると推定されます。しかし、「恥ずかしいから」といった理由で受診しないケースも。2017年3月に完成した『便失禁診療ガイドライン』では、初期診療の手順や治療法がまとめられています。

◆65歳以上の健康な男女1405人を対象に、1997年に大阪大学などが中心となって行った訪問面接調査によれば、男性8.7%、女性6.6%に、便失禁の症状があったと報告されています。

◆しかし、便失禁は医学部でも学ぶ機会が少なく、専門とする医師も限られてきました。このことから、便失禁診療の経験のない医師であっても、適切な検査・診断・治療が行う手助けになるよう、初期治療の手順をまとめた国内初のガイドラインが日本大腸肛門病学会によって誕生しました。

◆便失禁の原因としてもっとも多いのは、「肛門括約筋(こうもんかつやくきん)」の衰えです。筋肉が弱くなったことで、肛門の“しまり”が悪くなると、液状の便などがもれやすくなります。

◆肛門括約筋が衰える原因としては、加齢のほかに、女性の場合は出産・分娩による損傷も考えられます。また、痔、大腸がんの手術などによって肛門の形が変わることでも便失禁は起こりやすくなります。

◆このほかに、ストレスによって下痢をくり返す過敏性腸症候群や、糖尿病といった病気も、便失禁の原因になり得ます。また持病のために服用する内服薬が便失禁を引き起こすこともあります。

◆このように便失禁の原因はさまざまなので、泌尿器科や肛門科に限らず、原因によって産婦人科や消化器科、内科などでの治療が必要となる場合もあります。

◆本ガイドラインでは便失禁の多くは専門的な治療は必要とせず、食事や排便習慣を始めとした生活指導、肛門周辺のスキンケア、便の水分調整をする内服薬などで改善が見込めるとされています。

◆生活面では、食事では食物繊維の多い食品を積極的に摂取する、アルコールなどの刺激物は避けるなどが予防につながります。また、とくに高齢になると便意に気づきにくくなるので、排便時間を決める、便意がなくとも定期的にトイレに行くといった習慣づけも便もれの予防になります。

◆下痢が続くからといって安易に市販の下痢止め(止瀉薬/ししゃやく)などを服用すると、逆に便秘となって肛門を傷つけることもあるので、注意が必要です。

◆専門的な治療としては現在、「仙骨神経刺激療法(せんこつしんけいしげきりょうほう)=SNM」が注目されています。直腸・肛門の感覚や運動に関係している仙骨に電気刺激を送ることで、肛門括約筋の動きを回復させ、便失禁を抑える治療法です。

◆心臓のペースメーカーに似た小型の装置を臀部に埋め込みます。術後に効果が見られるまで2週間ほどかけて調整していきます。手術痕も小さく、また、いつでも取り外せるのもメリットです。2014年4月から健康保険適用になりました。

◆便失禁はQOL(生活の質)を損なうだけでなく、衛生面でも問題があり、感染症の原因にもなります。また、加齢によって誰にでも起こりうることですが、家族にも相談しにくく、ひとりで悩む人は少なくないようです。まずは、かかりつけ医に相談してみましょう。

(監修:東京医科大学病院 総合診療科准教授 原田芳巳/2017年9月13日)

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