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アニサキスがアレルギーの原因に?

確実な予防法は生食を避けること

サバ、タラをはじめ、食用になる160種類以上の魚介類に寄生するアニサキスによる食中毒。患者数がこの10年で20倍になったということで、にわかに注目されています。また、アニサキスアレルギーは発症すると深刻な事態になることも。予防法はあるのでしょうか。

◆アニサキス症は、魚介に寄生しているアニサキスの幼虫が原因で起こる寄生虫症。アニサキスの幼虫の大きさは、長さ3cm前後、太さ1〜1.5mm程度です。

◆食後、数時間から十数時間後に、みぞおち周辺の激痛、悪心(おしん/むかつき、気持ち悪さ)、吐き気、嘔吐などの症状が現れるのが、胃アニサキス症です。激しい症状が出る「劇症型胃アニサキス症」では内視鏡検査を行い、胃壁に潜り込んだアニサキスを内視鏡の先に設けられた鉗子などではさんで摘出します。

◆腸に感染すると、腹痛、悪心、嘔吐などの症状が現れます(急性腸アニサキス症)。腸の場合は鎮痛剤や吐き気止めなどの対症療法を行い、アニサキスが体外に排出されるのを待ちます。

◆胃、腸、いずれの感染でも激しい症状は感染から数日で治まり、3週間以内に消化管内から自然に排泄されるといわれます。しかし、まれに重症になると、胃穿孔(いせんこう/胃に穴があく)や腸閉塞、腸穿孔(ちょうせんこう/腸に穴があく)が起こることがあります。その場合は手術が必要になります。

◆アニサキス症自体は一過性のもので、幼虫が排出されれば症状は改善されます。しかし、気をつけたいのはアニサキスによるアレルギーです。アニサキスアレルギーがあると、劇症型の症状のほかに、じんましん、血管性浮腫、呼吸困難などの強いアレルギー症状を伴い、なかにはアナフィラキシーショックを起こして深刻な事態に陥ることもあります。

◆アニサキスアレルギーでは、一般的に1度目の感染は無症状または軽症で、2度目はアニサキスの幼虫が死んでいても、体内に入っただけで強いアレルギー症状が起こります。アニサキスアレルギーは発症するまで自分でも気がつきません。消化管以外の症状が現れたらすぐに受診する必要があります。

◆近年、アニサキス食中毒による激しい症状も、アニサキスが分泌する物質に対する即時性のアレルギー反応によるものとの見解があり、その説にそって、まず複数の抗炎症薬やステロイド薬を用いて症状を改善し、その後、内視鏡でアニサキスを摘出するという治療を行う医療機関もあり、一定の実績を上げています。

◆では、どのようにしたらアニサキス症やアレルギー発症を防ぐことができるのでしょうか。まず、一度アレルギー症状が起こった人はアニサキスアレルギーの可能性が高いので、魚介類はなるべく口にしないことが最善の予防です。

◆通常のアニサキス症では、アニサキスは60℃で1分間の加熱、70℃以上で瞬時に死滅し、−20℃で24時間以上冷凍すると感染力が失われます。焼く、揚げる、煮るなど火を通してから食べるか、生を食べる場合には、1日以上しっかり冷凍してから食べれば、感染力がなくなります。

◆また、魚を細かく刻む、よく噛んで食べるなども、アニサキスの感染予防になります。なお、わさびやしょうゆではアニサキスは死にませんし、酢でしめるのも無効です。

◆寄生しやすいのは、サバ、タラ、天然のサケ、スルメイカ、ホッケ、アンコウ、アジ、イワシ、カツオ、サンマなどですが、近海でとれる魚介類の160種類以上、ほとんどの魚介類に寄生しうるといってもいいくらいです。魚が死んでしまうと、アニサキスは内臓から筋肉(肉)に移り、それを食べた人に感染します。

◆一般的に市販されている魚介類は生食用でも冷凍処理がされていて、刺身や寿司ネタなどは内臓処理をしっかり行い、調理する人が最終的に目視で確認してアニサキス症の予防を行っています。それでも完全に防ぎ切れないのが厄介なところです。

◆特に注意したいのは、釣ってすぐにさばいて食べる場合。できれば生食は避け、内蔵に寄生しているアニサキスの幼虫が魚介類の筋肉に移る前にすばやく内臓を取り除いて食べるようにしてください。

◆アニサキス症の報告総数は2016年で126人。レセプト(診療報酬明細書)のデータ試算では推定発症件数は7000件を超えているのではないかといわれています。発生件数が急増した背景には、2012年の食品衛生法の改正で、アニサキス症の報告が義務付けられた影響や、流通システムの進化で、これまで生で食べなかったサンマなどを生食できるようになったことなども理由として挙げられます。

◆魚には良質なたんぱく質や不飽和脂肪酸が多く含まれ、生活習慣病の予防には欠かせない食材です。いたずらに怖がって食べなくなるのではなく、売り場で処理済みか確認するなど、十分な予防を施したうえで美味しく食べたいものです。

(監修:はくらく耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニック院長 生井明浩/2017年9月25日)

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