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日本脳炎ワクチンが足りない?

感染リスクが拡大

日本脳炎は蚊が媒介する感染症で、これまでは毎年多くて10人程度の発症例が報告されてきました。発症は子どもや高齢者に多く、死亡率が高く、重篤な後遺症も残りやすいため、予防ワクチンが定期接種されています。しかし、2017年このワクチンが全国的に不足する事態に陥っているそうです。なぜワクチン不足のおそれがあるのでしょうか。

◆日本脳炎は日本脳炎ウイルスによって発症する感染症で、ウイルスを保有する豚から蚊を媒介してヒトに感染。突然の高熱、嘔吐、頭痛などの症状を伴って発症者の2〜4割が死亡、高率で精神障害などの後遺症を残すという重篤な病気です。そのため予防接種法により、予防ワクチンが定期接種(誰でも無料で受けられる)に指定されています。接種時期は3〜4歳時に3回と9〜13歳未満時に1回が一般的です。

◆この予防接種用のワクチンを製造しているのは全国で2社あり、そのうちの1つ、熊本県にある「化学及血清療法研究所(通称:化血研)」が、2016年4月の熊本地震で2か月ほど製造をストップしました。

◆その後、再稼働しましたが、ワクチン製造には1年半かかるため、再稼働後の製品の出来上がりは翌年となり、その前に在庫が底をついてしまったのが今回のワクチン不足の原因のひとつです。

◆さらに、2年ほど前に千葉県で25年ぶりに乳児の日本脳炎発症が報告されました。これまでの流行地域ではなく、しかも1歳未満の感染だったために、これをきっかけに最初の定期接種が3〜4歳からという標準的な予防接種スケジュールの前倒しがすすめられるようになりました。これも不足の原因です。

◆また、日本脳炎のウイルス抗体を保有する豚は西日本に多く、発症の中心は西日本で、北海道においては日本脳炎の発症例が40年以上もないことからこれまで定期接種の対象地域から外れていました。しかし、本州との往来の増加で感染する可能性が高くなったことなどから、2016年度から北海道でも定期接種が始まりました。

◆こうした事情が重なったことから、日本脳炎ワクチンの品薄状況が続いています。ちなみに、これまで北海道で幼少期を過ごした人は日本脳炎の予防接種をしていない可能性があります。移住した場合はもちろん、北海道で暮らし続けている人も今後は感染もあり得るので、大人もワクチン接種がすすめられます。状況が落ち着いた頃に、医療機関などで相談してみてください。

◆全国的な品薄状態にあることで、厚労省は都道府県に対して、医療機関などの在庫状況を早く把握できる体制をつくり、市区町村でワクチンの偏在があった場合は卸売業者と連携し供給の調整を行い、問い合わせに対応すること、医療機関に対しては過剰な注文を控えるよう求めています。

◆こうした国の指導のもと、ワクチン製造を行う2社のうちもう1社の大阪府にある「阪大微生物病研究会」では増産体制に入りました。販売元でも地域ごとに必要量を割り当てるなど調整が行われています。

◆気候や環境の変化で、植生や在来生物が変化するように、ウイルスや細菌の感染地域も変化します。感染リスクの拡大に応じて、必要な予防接種の情報を得たり、自分の接種歴を確認しておきましょう。

(監修:医療法人社団秀志会 松平小児科院長 松平隆光/2017年9月26日)

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