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薬物依存症の治療プログラム

刑罰では治らない

覚せい剤や大麻など、違法薬物への欲求が抑えられなくなる薬物依存症。日本は国際社会と比べ治療面で遅れがみられていましたが、近年、治療が必要な病気であることが理解されるようになり、さまざまな支援が進められています。

◆薬物依存症とは、大麻や麻薬、覚せい剤、シンナーなどの薬物を使いたいという欲求が抑えられなくなり、やめたいと思ってもやめられない状態をいいます。薬の作用で脳の働きに異常が起こり、使用を中断すると、イライラ、頭痛、手の震え、幻覚、妄想などの離脱症状があらわれることがあります。

◆意思や理性では制御できない病的な状態なので、家族や周囲にやめると伝えても、また手を出してしまいます。その罪悪感からか、依存を隠そうと孤立しがちです。そして、孤立感から解放されたいがために、また薬物に頼るという負のループに陥る人も少なくありません。

◆薬物依存症がわかった場合、国際的には刑罰よりも治療を受けさせることが主流になっています。一方、日本では犯罪として刑罰は科されますが、治療の面では遅れています。そのため、薬物使用で捕まった人の再犯率は6割以上と非常に高いのが現実です。

◆近年、薬物依存症は治療の必要な病気だと、徐々に理解されてきています。公の機関である保健所や精神保健福祉センターに、相談窓口が設けられるようになりました。また、数は限られているのが現状ですが、専門治療が受けられる精神科医療機関もあります。

◆このほか、依存症経験者・家族が運営するリハビリテーション施設、本人または家族向けの自助グループが各地にあり、一定の成果を上げています。しかし、社会的な支援は不足しているのが現状です。

◆そんななか、新しい治療プログラムのSMARPP(スマープ)が注目されています。SMARPPは「せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム」の頭文字からの略称で、神奈川県立精神医療センターのせりがや病院で開発されたものです。

◆このプログラムは、米国マトリックス研究所が開発したモデルを参考に、日本の現状に合わせた形で作成されています。認知行動療法を基本とした、少人数のグループミーティングを中心とした取り組みで、「治療の場から離れないようにする」「何かあってもプログラムの場に戻ってくる」といったことを重視しています。

◆現在、全国の医療機関や精神保健福祉センターなどで、SMARPPを取り入れた支援が始まっています。このプログラムを自助グループなどとうまく連携できれば、依存者が治療を続けられるのではと期待されています。

◆薬物依存症の治療目的は、薬物を使わない生活を1日1日積み重ね、これを一生続けていくことです。本人や家族だけでは治すことは困難で、自分たちだけで何とかしようとすると、経済的にも社会的にも大変な負担を招き、悪化することもしばしば見受けられます。

◆できるだけ早く、専門の医療機関や支援機関とつながり、ねばりづよく治療を続けることが必要です。再犯を防ぎ、社会に更生していく道筋としても、治療を継続できる体制づくりが求められます。

(監修:横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義/2017年9月29日)

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