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寝ている間に抜歯?静脈内鎮静法とは

安全に治療を行うために

痛みや恐怖心、緊張などなしに歯科治療を受けたいという人に耳寄りの方法、「静脈内鎮静法」をご存じでしょうか。妊娠初期、緑内障、気道確保のむずかしい人などは、受けられない場合もありますが、医師の診断を経て保険も適用されるので安心です。どのような方法なのでしょうか。

◆歯科治療は、いくつになってもちょっと怖いものです。痛みや歯を削る感触、音、歯ぐきに打つ麻酔薬の注射など、過去に痛い思いをした人にとってはとりわけでしょう。寝ている間に治療できたら、どんなにいいでしょう。

◆痛みや恐怖を感じないための方法として、よく耳にするのは笑気ガスによる「吸入鎮静法」です。これは亜酸化窒素(N2O)と高濃度酸素を混ぜたガスで、全身麻酔にも用いられるものです。歯科では鼻から吸入することで気持ちを落ち着け、不安や緊張から起こる動悸や血圧の上昇などを防ぐ目的で用いられます。しかし、効果については個人差があるようです。

◆一方、「静脈内鎮静法」は文字通り、静脈内に抗不安薬や麻酔薬を点滴投与して、持続的な鎮静状態を起こす方法です。笑気ガスに比べて、安定的かつ確実に痛みや不安をやわらげることができます。歯科でおもに用いられるのは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬(ジアゼパム、フルニトラゼパム、ミダゾラム)とプロポフォールという麻酔薬です。

◆麻酔といっても、「意識下鎮静」という状態にするもので、完全に眠ってしまうわけではありません。不安や緊張感が消え、気持ちがリラックスし、うとうとと眠気を覚えますが、医師の問いかけには応えることができ、気道の反射や痛みに対する反応は確保されています。歯科治療は誤嚥のリスクなどもあるため、このような状態を保つことが重要なのです。

◆さらに、治療時に笑気ガスを用いた際のようなイヤな気分などが残らない健忘効果が期待できるのもメリットです。また、恐怖心などの精神的な面からだけでなく、嘔吐反射が強くて歯科治療ができない人、パーキンソン症候群などで身体が震えるためにじっとしていることがむずかしい人、高血圧や心疾患などの持病があって歯科治療に注意が必要な人などに用いることで、安全に治療をおこなえます。

◆歯科医師の側からみても、複数の抜歯やインプラント手術、歯根端切除術、骨移植など、時間がかかる治療や複雑な治療、侵襲が大きい治療などでも患者さんが安定した状態を継続できるため、メリットは大きいといいます。

◆実施にあたっては、歯科医師のほかに歯科麻酔科医や口腔外科医、あるいはもう一人の歯科医の立ち会いが望ましいとされています。処置中には心電図や脈拍、血圧などを連続モニタリングして安全を確保します。

◆ほとんどのケースで適用できるものの、妊娠初期の患者さんには用いることができません。そのほか使用する薬剤にアレルギーがある、開口障害などがあって万一の場合に気道確保が困難などの場合は、適用できないこともあります。また、急性狭隅角緑内障、重症筋無力症といった病気やHIVプロテアーゼ阻害剤を投与中の人にも適用されません。

◆治療前の通常の食事は8時間前まで、牛乳、軽食は6時間前まで、飲み物は2時間前までなどの推奨される決まりがあります。鎮静中の嘔吐や誤嚥のリスクを少なくするためです。施術後、2時間程度休んでから帰宅することが多いようです。

◆静脈内鎮静法は、2008年4月の保険改定で保険適用になりましたが、緊急時の対応などに精通していることが、実施者の絶対必要条件です。静脈内鎮静法を希望する場合は、まずはかかりつけの歯科医師に相談してみましょう。

(監修:松下歯科医院院長 松下和夫/2017年10月30日)

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