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睡眠不足は将来に深刻な影響が

睡眠の質も大切

「寝る子は育つ」と古くからいわれるように、子どもにとって睡眠が大切なことは知られていますが、働き盛りの大人にとっても同じこと。睡眠不足がさまざまな健康リスクを高めることがわかってきました。

◆国民栄養・健康調査の結果によると、睡眠時間が6時間以下の人は平成20年には全体の3割未満でしたが、平成27年には4割近くに急激に増えたことがわかりました。一方、7時間以上の人は34.5%から26.5%へと大幅に減りました。

◆睡眠不足と聞くと、1日3〜4時間しか眠らない、といった極端なケースをイメージする人が多いと思いますが、本来必要とする睡眠時間より、30分〜1時間程度足りない、いわば「睡眠負債」の状態が長く続くと、さまざまな弊害が生じることがわかってきました。

◆米ペンシルバニア大学などの研究チームが行った実験では、6時間睡眠を2週間続けると、じわじわと脳の機能が低下して、2日徹夜したのとほぼ同じ状態まで、集中力や注意力が低下することがわかりました。

◆米シカゴ大学が行った研究では、睡眠不足の状態をつくったマウスでは、がん細胞が増殖しやすくなることがわかっています。がん細胞は健康な人の体の中でも、常に発生し、増殖しようとしていますが、免疫の力でそれを抑えている間は、がんを発症することはありません。ところが、睡眠不足が続くことで免疫力が低下し、がん細胞の増殖が抑えられなくなる可能性が高まります。

◆東北大学が約2万人の女性を7年間追跡し、睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べたところ、平均睡眠時間が6時間以下の人は7時間寝ている人に対して、乳がん発症リスクが約1.6倍になるという結果も出ています(大崎国保コホート研究)。

◆さらに、睡眠不足は認知症にも影響が見られそうです。米スタンフォード大学のマウスを使った実験では、脳のアミロイドβ(ベータ)というたんぱく質が、睡眠中に排出されることがわかりました。アミロイドβは認知症の半数以上を占めるアルツハイマー型認知症の原因物質と考えられています。

◆アミロイドβは認知症を発症する20〜30年前から脳に蓄積されるといわれますから、働き盛りの睡眠不足が、将来のアルツハイマー型認知症の発症リスクを高める可能性が考えられます。

◆また、子どもの睡眠不足も深刻化しており、理想より平均30分〜1時間短いという調査結果も出ています。小児期から睡眠不足が続けば、体の成長や脳の発達に支障が出る可能性があるだけでなく、将来の認知症やがんのリスクも高まる可能性があります。

◆1日に必要とされる睡眠時間は年齢や個人によって異なりますが、20〜50歳代の働き盛りの世代では平均7〜8時間程度が理想とされています。高齢者では6時間程度でも十分というデータもあり、個人差もあるので、自分にとっての理想的な睡眠時間を知ることが大切です。

◆日中に座って本を読んでいるときや人と話しているときに、いつも眠くなるようなら睡眠負債が続いている状態と考えられます。

◆忙しい毎日の中で睡眠時間を確保するのはなかなか大変ですが、夜更かしのネットサーフィン、工夫次第で時短できる家事ならば、将来の健康寿命と引き換えにはできません。生活時間を見直して、あと30分睡眠をとれるよう行動してみましょう。

◆睡眠時間を確保できたら、睡眠の質を高めることにも取り組みたいところ。寝る直前に強い光を目に入れない、朝起きたらカーテンを開けて光を浴びる、食事時間を一定にして1日のリズムを保つ、適度に運動する、心配ごとは1人で抱えず人に相談する、といった心がけが、質の高い睡眠につながっていきます。

(監修:東京医科大学病院 総合診療科准教授 原田芳巳/2017年11月13日)

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