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Muse細胞で慢性腎臓病の治療が可能!?

点滴で臓器を移植?

iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)による再生医療の研究が進められていますが、第3の多能性幹細胞といわれるMuse(ミューズ)細胞にも注目が集まっています。2017年7月、東北大学の研究グループが、Muse細胞の点滴投与によって、慢性腎臓病を治療できる可能性があると発表しました。

◆再生医療とは、ケガや病気などで低下あるいは喪失した体の機能を、別の細胞や組織を使って回復させることをいいます。いろいろな方法がありますが、そのひとつに「幹細胞」を用いて修復が必要な組織や臓器を再生し、移植するものがあります。幹細胞はさまざまな細胞に分化する能力をもつため、万能細胞とも呼ばれます。

◆代表的なものは、iPS細胞やES細胞を使った再生医療でしょう。iPS細胞とは、ヒトの皮膚などから細胞を取り出し、人工的に遺伝子を組み込んでつくる幹細胞です。一方、ES細胞とは、受精卵が胚盤胞まで育った段階で内部にある胚(内部細胞塊)を取り出し、それを培養してつくる幹細胞のことです。

◆iPS細胞やES細胞に続き、最近注目を集めているのが、Muse細胞です。この細胞はiPS細胞やES細胞と異なり、もともとヒトの体内に存在しているもので、骨髄や皮膚のほか、臓器の結合組織の中に多く存在する多能性幹細胞です。

◆個人差はあるものの、Muse細胞は一定の割合で血液中をめぐり、傷ついた組織があると、そこからシグナルを受けその部位に集まります。そして、その組織に自ら分化し修復を行っています。

◆しかし、基礎疾患がありMuse細胞の活性が落ちていたり、数が足りない場合には、自らのMuse細胞だけでは修復することは難しくなります。そこで再生医療として、健常なドナーから採取したMuse細胞を活用する研究が進められてきました。

◆2017年7月、東北大学の研究グループは、Muse細胞による慢性腎臓病の新たな治療法の可能性について発表を行いました。まだマウスでの実験段階ですが、人工透析や腎移植しか治療の選択肢がない慢性腎臓病の患者さんたちにとって、期待ができるものです。

◆今回の研究の注目点は「点滴で臓器を移植する」と表現されるように、ドナーから採取したMuse細胞の点滴投与で、慢性腎臓病の治療の可能性が示唆されたことでしょう。また、再生医療はコストと時間がかかるものですが、一般病院でも十分に普及できる可能性も示されました。

◆いまや国民病となりつつある慢性腎臓病は、経済的な負担も大きい病気です。Muse細胞を使った再生医療が実現すれば、新たな治療の道が拓けるといえます。今後の進展が期待されるところです。

(監修:目黒西口クリニック院長 南雲久美子/2017年11月28日)


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