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若いがん患者に支援を

思春期・若年成人のがん治療

AYA(アヤ)とはAdolescent and Young Adultの略で15歳から30歳位まで(39歳までと定義することもある)の思春期・若年成人のこと。このAYA世代ががんを発症すると、それ以下の子どもや40代以上の成人とは異なる課題があることが指摘されています。

◆AYA世代のがんは、まず小児に多いがん(白血病、悪性リンパ腫、神経芽腫など)と、大人型のがん(胃がん、大腸がん、子宮がん、乳がんなど)のどちらも発症する可能性があり、かかる可能性のあるがんの種類が多いという特徴があります。一般に希少ながんも多く、15歳未満の子どもが発症するがんに比べて予後が良くないとされています。

◆がんが多様であることに加え、本人や家族、医療者もがんの初期症状を見逃しやすく、5年生存率も他の世代に比べて極端に低いとされています。その一方で、全体的には患者数が少ない(患者割合2.49%)ためデータの蓄積が遅れており、効果的な治療法が確立していないという現状があります。

◆AYA世代は、がんの治療と進学、就職、恋愛、結婚、出産などが重なっていく時期でもあり、治療中はもちろんのこと、回復後の社会生活でも次のような問題を抱えていると指摘されています。
(1)治療にかかわる精神的ストレス(脱毛など外見の変化も含む)
(2)学校・仕事の問題(卒業・就職・進学はできるかなど)
(3)経済問題(収入が不安定、保険不加入など)
(4)家族や友人関係の変化への不安(病気を伝えるべきか、子どもは残せるか)など

◆こうした問題を抱えるAYA世代のがん治療に対して厚労省は、医療者が十分に認識し、相談窓口などの周知を徹底すること、「AYA病棟」などを持ち専門的な対応ができる「AYA診療拠点」を整備すること、専門領域を越えた連携をすること、などを柱に支援体制を整えるよう通達を出し、各方面でもさまざまな取り組みが加速しています。

◆例えば、子どもを残せるかという悩みは深刻ですが、これに対してAYA世代の治療支援に積極的に取り組む国立がん研究センター東病院では、小児腫瘍科、泌尿器科、生殖医療の専門家がネットワークを作り、治療開始前の精子や卵子の温存、適切な生殖医療機関の情報提供や紹介なども行っています。

◆経済的な負担、就労問題などの解決を見出す社会的支援についても欠かせません。大阪市立総合医療センターでは、さまざまな診療科に点在する患者を対象にAYA世代支援の対策委員会を設置。臨床心理士やソーシャルワーカーなどが相談に応じるほか、がん経験者から話を聞く会を開催しています。

◆静岡県立静岡がんセンターはAYA病棟を立ち上げ、家族と患者、経験者などの悩みを共有する会を開き、好評です。患者団体のなかには、インターネットを通じて積極的に情報を発信し、交流に取り組むグループもあり、利用者が増えています。

◆アンケートなどからも、さまざまな悩みについて同じ立場の人の経験談をインターネットから収集したいというニーズが判明しており、国立がん研究センターでは支援サイトの立ち上げも検討しているとのことです。

◆AYA世代に特化したがんの闘病支援についてはまだ始まったばかりです。今後は、AYA世代病棟を持つ拠点病院の普及、周囲の医療機関との連携、悩みを共有し情報を得られるウェブ支援、患者会などの充実、そして学校やハローワークなどとも連携し、退院後も円滑に社会生活が送れるようなシステム作りが求められています。

(監修:東京医科大学病院 総合診療科准教授 原田芳巳/2018年1月12日)


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