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性別不合(性別違和)は病気から除外へ

WHOが社会の変化に対応し改訂

性の多様性が世界的なテーマとなっているなか、WHO(世界保健機関)は約30年ぶりに国際疾病分類(ICD)を改訂し、性別不合(性別違和)=ジェンダー・インコングルエンスを「精神・行動・神経発達障害」から除外すると発表しました。

◆性は、生物学的な性別だけでなく、性自認(自分がどのような性と認めるか)、性的指向(恋愛の相手としてどのような性を選ぶか、あるいはそのあり方も含む)など多面的な要素があります。また社会的な性(ジェンダー)のあり方やイメージ、性にまつわる役割や期待など、その時代の文化にも影響を受けるプライベートなものです。

◆国際疾病分類(ICD)は正式には、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」と呼ばれ、病気や死因などを数万項目にわたってまとめ上げた、いわば世界の病気リストともいえるものです。WHOにより1900年から行われており、当初からの死因の分類をはじめ、疫病のデータや保健サービスを盛り込むなど、社会の変化に対応し改訂し続けています。

◆今回、発表があった「性別不合(性別違和)」は、出生時に判定された性と自身が認める性が合致しない状態、例えば男性とされているが男性として生きることに違和感がある、といった場合をさします。

◆一般的にはトランス・ジェンダーと言われ、そのあり方もさまざまです。先述した性別不合のほか、体の違和感よりも他者から認められる性別への違和感から「異性装(服装倒錯症;反対の性別の服装をすること)」をするなど多様性があります。

◆性別不合(性別違和)は、現行のICD-10では「精神・行動・神経発達障害」に分類されてきました。次のICD-11では「性の健康に関連する状態」に分類されることになり、「個人の経験する性(ジェンダー)と、指定された性(セックス)の間での、顕著かつ持続的な不一致」と定義され、性別に違和感を持っている状態は病気ではない、と宣言されたのです。

◆性についての疾病分類はこれまでも時代により変遷してきた経緯があります。たとえばかつて「同性愛」は「精神障害」に分類されていましたが、現在では治療の対象から外されています。政府でも、性の多様性を認める啓発活動を行っており、性的志向などを理由とする偏見や差別をなくすため、相談などの活動を行っています。しかしまだ社会の偏見は強く、ICD-11も案であり、実効は2022年となっています。特に日本では戸籍制度のため性の二分化が根強いことで、多様な性を認めにくい土壌があると思われます。

◆人間の性の見方は、生物学的な男性か女性いずれかに分ける二元論だけの理解では困難で、その意識は社会通念として浸透して広がりつつあります。現在、性のあり方だけで数十種類存在するといわれます。時代によって科学的知見が新たになり、またそれが社会に広く行き渡ることによって、生きづらさや苦悩から救われたり、偏見や差別から自由になる人が増えていくことを望みます。

(監修:よしの女性診療所所長 吉野一枝/2018年11月20日)

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