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ピロリ菌の除菌がかえって病気を招く!?

意外なリスクの可能性が

ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリ菌といい、ピロリ菌感染は消化性潰瘍や胃炎の原因となり、胃がんのハイリスクにもつながることから、感染がわかったら除菌するのがよいとされています。一方で、除菌することで増加につながるといわれる病気もあります。そんなピロリ菌にまつわる消化器疾患について知っておきましょう。

◆ピロリ菌といえば、胃がんの危険因子としてよく知られています。疫学研究によると、ほとんどの胃がん患者の胃粘膜でピロリ菌が確認されています。除菌済みの人も含めると、胃がん患者の99%がピロリ菌に感染しているという報告もあります。また、消化性潰瘍では胃潰瘍の7割、十二指腸潰瘍の9割がピロリ菌によるものといわれています。

◆現在では、人間ドックや胃の不調で受診した際にピロリ菌感染が確認されると、積極的に除菌治療を行うのが当たり前になってきました。消化性潰瘍、慢性胃炎(前がん症状の萎縮性胃炎など)をはじめ、胃のリンパ節にできる胃MALTリンパ腫、胃粘膜びらんの修復過程にできる胃過形成性ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病などに対する除菌が保険適用になっていることも、除菌の普及を後押ししています。

◆日本のピロリ菌感染者は高齢者に多く、70歳代以上の感染率は50〜60%と高率です。しかし近年は、衛生環境の向上により、一度もピロリ菌に感染したことのない人が増えていて、感染率は40歳代では20%、20歳代では10%、10歳代では2%という調査結果が出ています。

◆ピロリ菌感染の有無を調べるには「胃内視鏡検査」「血液検査でのピロリ抗体」「尿素呼気テスト」などがありますが、まずは内視鏡検査を行います。感染があるとわかった場合は3種類の薬(胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤(PPI)、抗菌薬であるクラリスロマイシンとアモキシシリンを1週間服用してピロリ菌の除菌を行います。

◆ピロリ菌の感染率が低下していること、ピロリ菌除菌が普及していることから胃がんのリスクは低くなるばかりと思いきや、除菌の普及で逆に増えてきたといわれる病気があります。それが逆流性食道炎です。

◆逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が逆流して食道に炎症が起き、胸やけ、げっぷ、胸部の不快感や痛み、のどの違和感を伴う病気で、慢性化すると、食道腺がんのリスクになるともいわれています。これまで、肥満傾向の欧米人に多くみられる病気でしたが、近年は日本の働き盛りの世代に珍しくない病気となっています。

◆ではなぜ、ピロリ除菌をすると逆流性食道炎につながるのでしょうか。それは、ピロリ菌に感染していると、萎縮性胃炎を起こし胃酸の分泌が抑制されて“低酸状態”になり、逆流性食道炎が起こりにくくなるからです。それが、除菌によって胃酸の分泌が亢進し、逆流や胃酸過多に伴う症状が増えて逆流性食道炎の診断が増加するというわけです。

◆除菌で胃の調子がよくなることで、今までより食べる量が増え、中性脂肪やコレステロールの数値が上がったり、太ったりするなど、生活習慣病のリスクが高まるという指摘もあります。なお、除菌のために服用する抗菌薬の副作用で起こる軟便や下痢については一時的に過ぎず、特に心配しなくてもよいでしょう。

◆逆流性食道炎のリスクを考えると、除菌をためらう人がいるかもしれませんが、薬で症状を抑えながら、食生活や過労などに注意をすることで悪化を防ぐことができます。消化性潰瘍や胃がんを予防できる可能性を考えれば、ピロリ菌の除菌には大きなメリットがあるといえます。

(監修:医療法人誠医会 宮川病院 内科 宮川めぐみ/2018年12月17日)

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