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胃がんの治療、選択肢が増加

内視鏡やロボット手術などが可能

患者数が減ったとはいえ、いまだにすべてのがんのなかで、男女合わせた罹患者数が第2位、死亡者数は第3位の胃がん。しかし内視鏡手術の普及や抗がん剤による薬物療法の選択肢も増えており、5年生存率は6割を上回っています。

◆胃がんは、胃の内壁の粘膜に発生するがんです。胃壁は内側から、粘膜、筋層、漿膜と大きく分けて3層構造になっていて、おおよそ、粘膜内にとどまっているものが早期胃がん、筋層や漿膜まで及んでいるのが進行胃がんと呼ばれています。

◆がんが胃壁のどこまで及んでいるかと、周囲のリンパ節への転移、遠隔臓器や遠隔リンパ節への転移などを総合的に診て、がんの進行度が決まります。ステージI(がんが粘膜内にとどまっており、リンパ節に転移もない)なら5年生存率は約97%と非常に高く、ステージIV(遠隔臓器に転移がある)では約7%と低くなります。

◆治療の第一選択は手術によるがんの切除です。従来の開腹手術に加え、腹部に小さい穴を数カ所開けて、そこから腹腔鏡と呼ばれるカメラや器具を入れて行う腹腔鏡下手術も一般的になっています。腹腔鏡下手術はステージIに適用されます。

◆また早期胃がんには、内視鏡を用いた治療が普及してきました。内視鏡検査のように、内視鏡を口から入れ、先端から出る電気メスやスネアと呼ばれるループ状のワイヤーを用いて切除を行います。粘膜内にとどまり潰瘍を伴わない2cm以下の分化型がん(リンパ節転移を起こしにくいタイプ)に適用され、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)と、EMR(内視鏡的粘膜切除術)の2つの方法があります。

◆さらに2018年には手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術(ロボット手術)が胃がんにも保険適用となりました。腹腔鏡下手術や内視鏡治療は、開腹手術に比べて体への負担が少ない、入院期間や社会復帰までの時間が短くてすむ、など患者にとってのメリットが大きいといえるでしょう。

◆一方、抗がん剤を用いた化学療法には、手術の補助的な役割をもつ補助化学療法と、進行例や再発例などで手術ができない場合にがんの進行を抑える目的で行われる化学療法とがあります。

◆術後の補助化学療法は、主にステージII、IIIでの再発予防を目的にさまざまな抗がん剤を組み合わせて用います。

◆進行・再発胃がんに対する化学療法は、1次から3次まで3段階あり、1次化学療法は胃がんの増殖に関与するHER2というたんぱく質が過剰に発現しているタイプ(HER2陽性)と、過剰発現が認められないタイプ(HER2陰性)に分けて行われます。HER2陰性には従来の抗がん剤が用いられ、陽性には従来の抗がん剤に分子標的薬トラスツズマブが併用されます。

◆2017年には、免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体薬(オプジーボ)が、1次・2次化学療法で効果の見られない進行・再発胃がんに対して保険適用となりました。

◆がん細胞に対抗するには免疫細胞の一つであるT細胞の働きが必要ですが、そのT細胞の表面に現れるPD-1というたんぱく質に対して、がん細胞はPD-L1というたんぱく質を作り出してPD-1と結合し、無力化してしまいます。この結合をブロックしてがん細胞に対する攻撃力・免疫力を高めるのが抗PD-1抗体薬です。

◆このようにたとえ進行した胃がんでも治療の選択肢が増え、5年生存率は向上しています。それでもやはり早期であればあるほど、完治率が高いことがわかっています。1〜2年に1回は、検診を受けるようにしましょう。

(監修:医療法人誠医会 宮川病院 内科 宮川めぐみ/2019年3月11日)

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