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効能を解析 漢方薬とビッグデータ

医療費削減にもひと役

効能をビッグデータで解析する調査も行われるようになり、西洋医学の現場でも漢方薬の有効性が見直されるようになりました。漢方薬は、体が重い、疲れやすい、元気が出ない、といった病名の付かない症状にも対応し、さらに病気の後遺症や再発を軽減できたという報告も。西洋薬に比べて安価なことから、医療費削減にもつながるとも期待されています。

◆「だるい」、「疲れがとれない」といった症状は東洋医学では「未病(みびょう)」と呼ばれて漢方薬が処方されますが、検査してもこれといった異常が見つからず、病名の付かない原因不明の体調不良の治療は、これまで西洋医学が不得意とするところでした。

◆東洋医学では患者の体力や体質などから、実証・虚証といった「証(しょう)」を診て漢方薬を処方しますが、西洋医学の医師にとってはやや複雑なこと、効果の根拠に懐疑的な傾向もあり、医療の現場で漢方薬の取り扱いが進んでなかったのが現状でした。

◆しかし、患者側からの漢方薬の処方を求める声は年々増えつつあり、東洋医学会をはじめとした医療機関も積極的に導入を推進し始め、エビデンスとともに、どんな漢方薬がどのような症状に改善に役立つかなど、ビッグデータによる解析が進みつつあります。

◆現在、慶應義塾大学病院では漢方の「自動問診システム」として、コンピューター画面をタッチして質問に答えるシステムを導入。このシステムは「データマイニング」と呼ばれる科学的手法を用い、集積データと照らし合わせてどの漢方薬が適しているかを判断します。

◆このようなシステムを設置した医療機関が増えれば、医師の問診にかかる時間の負担削減とともに、西洋医学医でも客観的な判断、漢方薬の処方がしやすくなることが望めます。

◆九州工業大学大学院の研究グループも、富山大学の研究グループとの共同研究により、漢方薬の新しいデータベース「KampoDB」を開発。これにより、漢方薬の新しい効能の予測(漢方薬リポジショニング)が可能となりました。

◆さらに、後遺症の軽減や再発防止といった病後のケアでも漢方薬は注目されています。第35回和漢医薬学会学術大会では、漢方薬のビッグデータ分析の一例として「慢性硬膜下血腫の術後にむくみを防ぐ漢方薬を処方したところ、統計学的に漢方薬を投与した場合の方が再発率は有意に低下した」と、東京大学大学院医学系研究科が報告しています。

◆また、総入院医療費の平均も漢方薬を処方した場合の方が下回ったとのこと。西洋薬と比べると漢方薬の方が安価であり、そのうえ再発・再手術率が減り、入院日数やそれにともなう費用が減ったためと考えられます。

◆医師を育てる教育の場でも、2001年から漢方が必須科目になりました。歴史に培われた統計学的な診断だけではなく、ビッグデータによって漢方の効能が明らかになれば、医療の現場でもさらに使い勝手よく処方されることになりそうです。

◆漢方には、体力を高め、病気を未然に防ぐといった働きも期待できるので、上手に利用したいものです。

(監修:目黒西口クリニック院長 南雲久美子/2019年3月15日)

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