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QOL改善の手助けをする補聴器 普及率は?

補聴器はメンテナンスが必要

日本補聴器工業会の調査によると、日本の難聴者に対する補聴器の普及率は14.4%にとどまり、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスが30〜45%の使用率なのに比べて極端に低いことがわかりました。補聴器を使わない状況には、補聴器の使い方への誤解や、経済的な事情があるようです。

◆自己申告による難聴者率は13.2%(18歳以上)。高齢化もあいまって、この割合は増加傾向にあります。耳や神経に異常がみとめられ、治療対象になる難聴は別にして、加齢による難聴は50代から始まり、65歳を過ぎると急増して3人に1人、75歳以上では7割以上が聞こえにくさに悩んでいるともいわれます。

◆難聴のレベルは、聴力検査で以下に分類されます。
(1)軽度=ささやき声や静かな会話が聞き取りにくい(25〜40dB)
(2)中等度=近くでゆっくり大きな声で話されると聞きとれる(40〜70dB)
(3)高度=耳元で大きな声で話されると聞きとれる(70〜90dB)
(4)重度=大きな音でないと聞こえない、補聴器でも聞き取れないことがある(90dB以上)

◆軽度の段階で不自由を感じ始めますが、ある程度症状が進むまで我慢(=放置)している患者さんが少なくありません。補聴器のよい適応となるのは中等度とされていますが、補聴器が選択肢として上がりにくい理由の一つとして、経済的なことが挙げられるでしょう。補聴器の値段は1台(片耳)で平均して15万円ほど。そして、補聴器の使用は保険適応にならないのです。

◆しかし高度・重度難聴と診断されたら、補聴器の使用について公的な補助金が給付されます。このこともあまり知られていないかもしれません。ただし、地方自治体に障害者手帳を申請する必要があり、「そこまでしなくても」と感じる人も多いようです。

◆また、「補聴器はめんどう」「役に立たない」「聞こえが不自然」などの口コミも補聴器の普及を妨げる一因となっています。これらの背景には、補聴器を正しく使っていないことが挙げられるといいます。

◆補聴器は他の医療機器(入れ歯など)と同じように、購入の際も買った後も微調整が必要です。「ピーピー音が鳴る」「前より聞き取りにくい」「耳から外れやすくなった」など、使っている間に不具合は出てくるものです。それを知らずに、あるいは煩わしく思い、合わないままに使っているために使う頻度が減り、「補聴器は不自然な音がする」「補聴器は役に立たない」と思い込むケースが多いようです。

◆インターネットなどで手軽に安価に購入する人がいることも補聴器の評価を下げる要因になっています。微調整が必要な補聴器を通信販売で購入することは、避けましょう。

◆難聴で困るようになったら、まず耳鼻咽喉科で相談しましょう。日本耳鼻咽喉科学会では、補聴器について専門的な知識をもった耳鼻科医を「補聴器相談医」として公開しています。補聴器相談医からは、より詳しい情報を得ることができるでしょう。

◆補聴器は補聴器取扱店で購入できます。福祉用具について開発や評価を行っているテクノエイド協会は認定補聴器専門店を指定しています。認定補聴器技能者が常勤していて、購入の際の相談や使用中の微調整などに応じてくれます。

◆聞こえが悪いと、人と話すのがおっくうになり、相手の迷惑をおもんばかって会話の機会が減ります。周囲の人も「耳が遠いから」とコミュニケーションを面倒に思ってしまうこともあります。そうすると、孤立感が深まって人とふれあう機会が減るだけでなく、周囲の音が入ってこなくなることで脳への刺激も減り、引きこもりやうつ、認知症にもつながるおそれがあります。

◆WHO(世界保健機関)が提示した高齢者QOL(生活の質)に影響する10大疾患では、難聴は7番目に挙げられています。また、2015年に厚生労働省は認知症施策推進総合戦略を発表し、認知症の危険因子の一つとして難聴を明記しました。

◆もちろん、補聴器で元のように聞こえるわけではありません。しかし確実にQOLは改善され、アクティブな生活を取り戻すことができるでしょう。我慢せずに相談することをおすすめします。

(監修:はくらく耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニック院長 生井明浩/2019年5月31日)

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