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イヤホンなどで、若者11億人に難聴リスク!?

失われた聴力は戻らない

スマートフォンの広がりとともに、若い世代を中心にイヤホンやヘッドホンが多用されています。耳の中で音楽を大音量で聞く人も増え、聴覚障害が増えることが世界規模で危惧されています。

◆先日、世界保健機関(WHO)と国際電気通信連合(ITU)は、世界の12〜35歳の人の約50%、およそ11億人が難聴になるリスクがある、との推計を発表しました。ヘッドホンやイヤホンなどのパーソナルオーディオ機器を使って大音量(限度以上の音量)の音楽を長時間聞くことで聴覚障害のリスクにさらされているというものです。

◆大きな音を聞くことにより起こる難聴は、急性と慢性に大別されます。

◆急性は、爆発音や銃火器などによる瞬間的な130デシベルを超える極めて強大な音による「音響外傷」と110デシベル以上の強大音にある程度の時間接することにより生じる「その他の急性音響性難聴」とにさらに分けられます。慢性は、「騒音性難聴」とも呼ばれ、長期間(5年〜15年)大きな音(85デシベル以上)にさらされることで起こります。工場などの機械の騒音を長期間聞くことなどが代表例です。

◆その他の急性音響性難聴にはライブやコンサートの大音響や、ヘッドホンやイヤホンで音楽を聞くことで発症する難聴で「ヘッドホン難聴」も含まれます。

◆音による難聴と聞くと、瞬間的な大きな音で鼓膜が破れることと思いこんでいる人も少なくないと思いますが、ヘッドホン難聴は内耳にある、音を感知する神経細胞がダメージを受けて聞こえにくくなっていきます。

◆音が聞こえる仕組みは、耳から入った音(振動)が内耳の蝸牛(かぎゅう)という器官にある有毛細胞で電気信号に変換されて脳へ伝わり、音として認識します。長期間にわたって一定程度の大きい音を聞き続けると、有毛細胞が徐々に壊れていき、だんだんと音が感じ取れなくなっていきます。さらに強大な音では、短時間あるいは一瞬で有毛細胞が壊れてしまいます。

◆有毛細胞は一度ダメージを受けると、修復、再生は困難で聴覚を元に戻すことはできません。補聴器や人工内耳による治療が必要となってしまいます。特に、ヘッドホンやイヤホンは耳の中へ直接的に音が入るために危険度が高くなります。

◆WHOは、大人では80デシベル、子どもの場合で75デシベルの音量を1週間に40時間以上聞き続けると難聴の危険があると警告しています。ちなみに、75デシベルは高速走行中の車内やセミの鳴き声、80デシベルは走行中の電車内や救急車のサイレン、90デシベルは騒々しい工場内、犬の鳴き声などの大きさです。

◆ヘッドホンを外したときに「キーン」などという耳鳴りがしたら、音量が大きすぎて有毛細胞に負荷がかかっている可能性があります。有毛細胞が破壊される前であれば、耳栓などで安静を保つほか、ステロイド剤や血管拡張剤、ビタミン剤などの薬物療法で改善することもあります。

◆難聴を防ぐためには、とにかくボリュームを上げすぎないこと、休憩をはさむなど長時間(1時間以上)連続して大きな音を聞かないことが大切です。また、イヤホンの音声や音楽を聞きながら眠ることや運動するのはNGです。

◆電車内、ゲームセンター、パチンコ店など周囲の音が大きい場所では、周囲の音に負けまいと大音量になりがちです。周囲の音を遮断するノイズキャンセリング機能のついたヘッドホンやイヤホンを使うと、周囲の雑音が気になりにくくイヤホンの音量を抑えることができますが、それにも限界があるので、良いイヤホンを使用しているから安全だと思わないでください。

◆ときにはデジタル音源をすっかり耳から離して、静寂の中に身を置いてリラックスしたり、かすかな風音や水の流れなど、遠くの響きに耳を傾けるようなひとときを味わってみるのもいいかもしれません。

(監修:はくらく耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニック院長 生井明浩/2019年9月6日)

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