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認知症とは限らない! 認知機能が低下する病気

認知機能の低下を招く病気は70種類以上

認知症の患者数は、厚労省の2012年の推計で462万人とされています。さらに2025年には700万人を超えて高齢者の5人に1人が認知症になるとされています。しかし、認知機能の低下をきたす病気は認知症だけではありません。中には診断が難しいものもあるため、正しく症状を伝えることが大切です。

◆認知機能が低下する病気としては、アルツハイマー病などの認知症を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、原因となる病気としては70種類以上が確認されており、単純に認知機能の障害=認知症ではありません。そこで、間違いやすい病気をいくつか取り上げてみます。

◆認知症と間違えやすい病気としては、比較的まれな病気ですが、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮するピック病があります。症状は萎縮のみられる場所によって異なりますが、記憶障害のほか、人格変化(怒りやすくなったり、暴力をふるう)や無頓着な身なり、倫理観の低下(万引きをしたりする)などがみられます。

◆この病気では、アルツハイマー病と診断されてしまうことも少なくありません。正しく診断されないまま認知症治療薬を処方されると、人格変化がひどくなるなど、かえって症状が悪化したり、社会問題を起こしたりすることがあります。

◆また、脳脊髄液(髄液)の循環に何らかの異常が生じ、行き場を失った髄液が脳を圧迫する正常圧水頭症でも、しばしば認知機能が障害されます。歩行障害、尿失禁が見られることも特徴で、診断にはMRIなどの画像診断が有用です。

◆正常圧水頭症の治療では、手術で髄液を排出する通路をつくり、脳内の圧力を下げます。改善の程度を事前に予測することはできませんが、術後に症状が劇的に改善するケースも珍しくなく、「治る認知症」と言われることもあります。

◆このほか、アルコール依存症、甲状腺機能低下症、脳の動脈硬化、うつ病やせん妄(とくに高齢者)なども認知機能を低下させることがあります。軽度の意識障害と精神的な興奮が混在した状態であるせん妄は、概して急性な経過を示し、薬剤が原因となることもあります。日ごろから複数の薬を継続的に服用している高齢者は注意が必要です。

◆慢性硬膜下血腫が認知症と間違われることもあります。これは進行がアルツハイマー病などより速く、老人の場合は頭痛がなく、頭を打ったことを記憶していないことがあり注意が必要です。手術にて完治します。

◆認知症の診断では、CTやMRI、脳血流検査などの画像検査、記憶・知能に関する検査などが行われますが、それだけでは不十分な場合もあります。患者さんの日ごろの状態は家族の話の裏付けが重要であることも多く、問診で正確な情報を伝えることが大切です。

◆正しい診断が得られないと、治療の開始が遅れるだけでなく、結果として病気を悪化させてしまうことにもつながりかねません。受診に際しては、症状をまとめておくなどした上で、家族も医師と十分にコミュニケーションをとることが求められます。

(監修:寺本神経内科クリニック院長 寺本純/2019年10月22日)
※2014年11月5日 公開記事を再編集して掲載

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