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意思とは違う手足のふるえ その原因は?

ふるえの原因はたんぱく質?

意思に反して手や足がふるえてしまう、本態性振戦(ほんたいせいしんせん)。40歳以降の約4%、65歳以降の約15%にこの症状があるという報告もあります。脳内の電気信号の伝達異常が原因ですが、これまで不明だったふるえのメカニズムを群馬大学の研究グループが明らかにしたと発表しました。

◆本態性振戦では、原因となる病気がないのに、自分の意思に反して手や足がぶるぶるとふるえてしまいます。加齢、緊張、寒冷などで強調されるほか、体質も関係すると考えられています。

◆軽微なふるえでは経過観察をすることがほとんどですが、文字が書けない、飲み物をこぼさずに飲めない、食事がうまくできない、声がふるえる、首や頭のふるえが気になって人に会いたくない、などで生活に支障をきたすようになったら治療を考えます。症状は徐々に悪化しますが、身体のまひなどにつながることはありません。

◆振戦は、脳内に原因のある中枢性のものと考えられていますが、原因はまだ解明されていません。小脳の異常、レビー小体という特殊なたんぱく質の蓄積、小脳−視床系の過活動、交感神経の過活性など、これまでさまざまなメカニズムが検討されてきましたが、結論が出ていないのが現状です。

◆そんななか、2019年6月に群馬大学大学院の研究グループが世界で初めて原因を解明したと発表しました。同研究グループは、本態性振戦と同じようなふるえの症状を現す、特定の遺伝子を欠失させたマウスを作製。このマウスの脳を調べたところ、小脳皮質から信号を送り出すプルキンエ細胞の活動が低下し、電気信号が弱まっていることを発見しました。

◆さらに、プルキンエ細胞の軸索(じくさく:細胞体から延びている突起状のもので、信号の出力を担っている)の起始部でのナトリウムイオンチャネルの一つであるNav(ナブ)1.6というたんぱく質が失われて、ナトリウムの取り込みができなくなっていることもわかりました。

◆小脳はスムーズな運動を行ううえで重要な役割を果たしており、その電気信号の伝達はプルキンエ細胞が中心となっています。Nav1.6の消失が電気信号の弱まりを引き起こし、体のふるえを起こしていることがわかったと結論づけています。

◆本態性振戦の治療は、日常生活動作の支障度によって実施しますから、感じ方によって治療開始の判断は個人差があります。交感神経遮断薬や抗てんかん薬などの薬物療法や、脳の視床という部分に電気的刺激を送る視床電気刺激術、ガンマナイフや集束超音波を用いて視床の一部を破壊する治療法などが行われています。いずれも対症療法で、ふるえの部位によっては効果がそれほど高くないものもありました。また薬物療法以外の治療法では高い技術が必要で、実施できる医療機関も限られています。

◆今回、原因が解明されたとの発表で、根治的な治療薬の開発につながるのではないかと期待が寄せられています。研究グループでは今後、加齢とNav1.6の消失の関係、緊張時やアルコール依存症で起きる身体のふるえとの関係などについても研究を進めたいとしています。

(監修:寺本神経内科クリニック院長 寺本純/2019年11月5日)

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