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糖尿病患者に起こりやすい低血糖とは?

糖尿病なのに低血糖?

糖尿病は、血糖値が高くなる病気として知られていますが、薬で血糖コントロールをしている人は低血糖を起こしやすいということをご存じですか。なぜ、低血糖が起こるのでしょうか。低血糖を防ぐ方法は?

◆糖尿病患者に低血糖は無縁と思われがちですが、実は低血糖は、糖尿病の治療で血糖値を下げる内服薬やインスリン製剤を使用している人に起こりやすいのです。糖尿病は血糖値が高くなる代謝異常の病気なので、治療では血糖値を下げる、または上げないための食事療法と運動療法を基本に、必要に応じて薬物療法を行います。ですが、使っている薬の作用と、食事の量や回数、運動量などとのタイミングがズレると、血糖値が下がりすぎて低血糖状態になるのです。

◆低血糖は、血中のブドウ糖濃度が正常値より低くなる状態で、一般には、血中濃度が70r/dL以下の状態を「低血糖」といいます。健康な人の場合、血糖値は食事や運動などの影響を受けながら70〜140r/dLで変動しており、60r/dL以下になることはほとんどありません。しかし、糖尿病患者の薬物治療で副作用として起こる低血糖では、60r/dL以下になることもまれではありません。

◆たとえば、食前に薬を服用、あるいはインスリン注射をしたのに、主食の炭水化物(糖質)の量がいつもより少なかったり、食事時刻が遅れたり、欠食したりすると、血糖値は必要以上に下がってしまいます。また、アルコールには肝臓からのブドウ糖の供給を抑える働きがあるため、低血糖になりやすい状態をつくるので、飲みすぎたときも要注意です。

◆さらに、激しい運動や長時間の運動、長風呂も、エネルギー源である糖を消費するため、低血糖を招きやすい状態になります。

◆糖尿病に用いられる薬のうち、血糖降下内服薬は、代謝のメカニズムに作用して間接的に血糖値を下げるので、低血糖を起こしにくいとされています。しかし、内服薬で低血糖になった場合、後述する応急処置で血糖値が回復しても、薬の効き目は持続しているので、再び低血糖になることがあります。

◆インスリン製剤は、血糖値そのものを直接下げるので、内服薬に比べて低血糖を起こしやすいといわれています。インスリン製剤の注射は、いわゆる注射器とは異なり、カートリッジに入ったインスリン製剤をペンタイプの専用注射器にセットして、ダイヤルで投与量を指定し、ボタンを押すだけの使いやすいものです。しかし、ダイヤルを見誤って投与量を間違えたり、インスリンを注射したあとに食事をすぐ食べなかったりすると、低血糖を招くことがあります。

◆低血糖の初期(血糖値およそ70r/dL以下)にあらわれるのは、手指の震え、発汗、動悸、異常な空腹感などの交感神経症状です。少し進むと(およそ50r/dL前後)、頭痛や目のかすみ、眠気、脱力感などの中枢神経症状があらわれます。さらに進んで重度(およそ50r/dL以下)になると、けいれん、意識混濁が起こり、昏睡状態に陥ることもあります。

◆通常、手足の震え、発汗、動悸などの交感神経症状で低血糖に気づくことができます。この時点で、ブドウ糖10g、なければ砂糖を10g、あるいはどちらかを含む甘い飲み物をとります。15分くらいしても症状が改善しない場合はさらに同様に追加します。そして症状が改善したら、なるべく早く食事をとる、これが低血糖の対処法です。自分の低血糖のサイン=初期症状を覚えておくと早めの対処ができます。このような低血糖症状が再びあらわれたときには、自己血糖測定ができる場合は血糖値を調べて確認してみてください。

◆ちなみに、低血糖の応急処置としては、砂糖よりブドウ糖のほうが血糖値を素早く上昇させるのでより効果的です。とくに砂糖の消化スピードを遅らせるα-グルコシターゼ阻害薬を使用している人は、砂糖を摂取してもなかなか血糖値が上がってこないため、市販のタブレットタイプやゼリータイプのブドウ糖を携帯しておくと安心です。

◆また、運動や入浴前、運転前には、糖分をとっておくことをおすすめします。とくに運転中の低血糖は大事故につながるため、事前の低血糖対策を怠ってはいけません。

◆怖いのは、自分で気づかないうちに低血糖状態になる「無自覚性低血糖」です。低血糖を繰り返している人や、自律神経障害が進んだ人の場合、交感神経症状に気づきにくく、なんの前ぶれもなく昏睡状態に陥ることがあるからです。日ごろから糖尿病IDカードを携帯し内服薬やインスリン治療の状況を記載しておくと、周囲の人に向けた低血糖の対処法が記してあるので万が一のときに役立ちます。

◆無自覚性低血糖を起こした人でも、1〜2カ月の間低血糖に陥らないように気をつけていると、初期症状を自覚できるようになるとされていますが、高齢者や自律神経障害が進行してむずかしい場合は、血糖コントロールの数値自体を緩和することもあります。

◆近年の調査研究によると、高血糖だけでなく低血糖も心筋梗塞や脳梗塞、認知症のリスクになると報告されていることから、低血糖を事前に防ぐための工夫や、早めの対処が大切です。

(監修:医療法人誠医会 宮川病院 内科 宮川めぐみ/2020年3月3日)

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