モバイルサイト「ケータイ家庭の医学」はこちら!
https://sp.kateinoigaku.ne.jp/

せき止め薬の乱用 10代で急増!?

危険ドラッグに代わって新たな薬物依存が急増

薬物依存と聞くと覚せい剤や大麻、危険ドラッグなどの違法薬物を思い浮かべますが、厚生労働省から発表された薬物依存の実態調査によると、市販薬の乱用による薬物依存が10代で増えていることがわかりました。

◆「全国の精神医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」は国立精神・神経医療研究センターの研究班が行っている調査です。今回発表されたのは、全国1566の有床精神医療施設で、2018年9〜10月に薬物関連の通院や入院等の治療を受けた患者を対象とした調査を行い、同意を得られた患者2609人を分析したものです。

◆対象となっている薬物は、覚せい剤や大麻、危険ドラッグなどの違法薬物、睡眠薬・抗不安薬(市販薬を除く)やシンナーなどの揮発性溶剤などのほか、市販薬も含まれています。

◆全体で見ると、最も多いのは覚せい剤で56.0%、次いで睡眠薬・抗不安薬が17.1%。市販薬は5.9%ですが、10代では市販薬が最も多く41%(34人中14人)という結果でした。

◆2014年の調査では、10代で最も多かったのは危険ドラッグで約半数を占めていましたが、2016年で危険ドラッグによる患者数は減少し、2018年ではゼロになりました。その一方で、2014年にはみられなかった一般市販薬による10代の患者が2016年にあらわれ、2018年でさらに増えました。

◆市販薬のうち多く使用されているのはいわゆるせき止め(鎮咳薬)で、このほか総合感冒薬や鎮痛薬などが本来の目的以外のために使用されています。これらの薬はドラッグストアで気軽に買うことができますが、含まれる成分にはエフェドリンやリン酸ジヒドロコデイン、カフェインといった、微量ながら覚せい剤の原料や麻薬、興奮作用のあるものが含まれているものがあります。

◆これらの薬を一度に大量に飲むことで、一時的に意欲が高まったり、気分がしゃきっと感じたりする作用があらわれることがあるようです。ほかの違法薬物のような幻覚や幻聴等の症状はあらわれにくいのですが、依存性が強いのが特徴です。

◆その依存性のため徐々に飲む量が増え、何百錠も飲まずにはいられないような状況に陥ったケースもあります。飲んでもだるさがとれず、次第に学校や仕事にも行けず、誰にも会えないような状態に陥ります。

◆10代の患者の特徴としては、すでに精神科受診歴のある場合が多く、抱えている不安などを誰にも話すことができずに市販薬へ依存してしまうケースがあることです。快楽や享楽のために使用するのではなく、気分の落ち込みや不安を紛らわせ、勉強への意欲を出そうとするなど、生きづらさを薬物で紛らわそうとする若者に対しては、単に薬の乱用を止めさせるだけでなく、抱えている問題への解決を支援することが重要であると報告されています。

◆薬を販売するドラッグストアでも、10代に販売する場合、学生証などの提示を求めるほか、せき止め薬やかぜ薬を販売する場合には1人に1箱のみとして、まとめて購入することがないような対策が進められてきています。しかし、ドラッグストアをはしごしたり、ネットで購入できるなど、乱用をどう食い止めるか、むずかしい現状もあります。

◆心身の成長変化、学業や部活動の評価、人間関係など悩みを抱えがちな若年世代。家族はもちろん、地域やさまざまなコミュニティーを通じて、依存性薬物の怖さを伝えるとともに、薬に頼らなくてすむ心の居場所、ほっとできる関係性が求められているといえるでしょう。


(監修:横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長 山本晴義/2020年3月10日)

気になる身体の症状を
◆チェック◆
症状チェック 食事記録 お薬検索 病気検索

『家庭の医学』

1969年の発行以来、
累計約330万部の
ロングセラーの最新版

総監修:聖路加国際病院院長
福井次矢

信頼の『家庭の医学』最新版を
iPhoneアプリにギュッと凝縮!


外出先でのアクシデントの際にも活躍!


はい、いいえで答えるだけで、気に
なる症状の対処方法がわかる!

あなたの隣にある危機

糖尿病網膜症

早期受診で失明を防ぐ
著:右田 雅義(右田眼科 院長)
東海林 のり子(リポーター)
定価1,836円(本体1,700円)

在米日本人のための必携医療マニュアル

アメリカでお医者さんにかかるときの本

異国の地で、英語で、受診する不安を軽減
著:あめいろぐ(在米日本人医療従事者による情報発信サイト)
監修:メイヨークリニック 予防医学フェロー 反田篤志
定価3,000円(本体2,778円)

手術以後のすごし方

心臓病そのあとに・・・

心臓手術以後のQOL向上のための生活ガイド
著:高知大学病院 心臓血管外科 教授 渡橋和政
定価1,296円(本体1,200円)