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胎児のRh±の判別 母体の血液からわかる検査法

胎児の血液型を知る方法

国立成育医療センターなどの専門医を中心とした研究グループが、おなかの赤ちゃんの血液型を判別する新しい検査法を開発しました。胎児の血液の判定が正確にできるようになると、どんなメリットがあるのでしょうか。

◆一般的に知られている血液型の分類にはABO式血液型と、特定のたんぱく質(D抗原)をもつかもたないかで分類するRh式血液型があります。特定のたんぱく質をもたないRh(−)の人は日本では200人に1人といわれる珍しい血液型です。

◆胎児や生まれて間もない乳児は、検査に必要な血中の抗原や抗体が不確実で、血液型の正しい判定ができにくいといわれています。しかし、胎児のうちに正確な血液型を知ることができれば、さまざまな疾患の治療や予防に役立てることが可能になります。その疾患の代表的なものに「血液型不適合妊娠」があります。

◆血液型不適合妊娠は、ABO式で起きることもありますが、多くは軽症で大きな心配はありません。一方のRh式で母親がRh(−)、胎児がRh(+)のときには深刻な血液型不適合となる可能性があります。胎児や新生児の赤血球が破壊され、黄疸、貧血、心不全、脳障害などの発症や胎児死亡に至ることもあります。

◆なぜ、このような症状が引き起こされるのかというと、Rh(−)の母にRh(+)の子どもが宿り、妊娠中にRh(+)の胎児の血液が胎盤を通して母の体内に入ると、異物とみなして抗体がつくられます。この抗体ができた血液が今度は胎児の体内に入ると、赤血球を攻撃して破壊することになるのです。

◆多くの場合、抗体ができるのは1人目を出産してからです。そのため第1子は大丈夫でも、第2子以降に血液型不適合妊娠が起きる危険が増します。ただし、流産などの経験がある場合は1人目の妊娠でも抗体ができている場合もあります。

◆胎児の血液型がはっきりしない現状では、健診で母体がRh(−)とわかれば、抗体ができないように「抗ヒト免疫グロブリン」という血液製剤を投与して備えています。しかし、この方法では母親にすでに免疫ができているときには効果がありません。しかも、もし胎児がRh(−)なら投与は不要になります。この不安定な状況を脱するために、胎児の血液判定技術の開発が待たれていました。

◆今回、研究グループが開発した新しい血液検査法は、母親から採血し、それに微量に含まれる胎児由来のDNAから、血液型を決めるRHD遺伝子を解析して胎児の血液型を判定するものです。この検査法では、今までむずかしかった胎児のRh±も判定可能になり、日本人を含む東アジア人の症例の99.6%をカバーできるといいます。

◆これまでは、胎児の血液型がわからない妊婦には何度も検査を行う必要がありましたが、新しい出生前検査法が確立されれば、妊婦の検査負担を軽くし、血液製剤を一律に投与するというリスクも減らすことができます。

◆この検査法は分子遺伝学的な根拠に基づくものであり、これによって厳密な治療方針を決めることができるようになります。日本における血液型不適合妊娠の診断・治療法を大きく変えるものとして期待されています。

(監修:東京医科大学病院 総合診療科准教授 原田芳巳/2020年4月10日)

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