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広がりつつある!? マスク依存

伊達マスクの背景は?

かぜや花粉症でもないのに、マスクをする人が増えているといいます。「伊達(だて)マスク」ともいわれ、社会人はもとより小・中学生や高校生などにも広がっているようです。なぜこのような現象が起きているのでしょうか。

◆マスクは本来、かぜなどの感染予防や花粉症対策、のどの保湿、せきの飛沫を防ぐなどを目的とした衛生用品です。そのマスクが最近はすっぴんや無精ひげ隠し、小顔に見えるなど用途が多岐にわたり、ファッション感覚でつける人も増加。衛生目的以外での使用を、おしゃれ感覚でかける「伊達メガネ」になぞらえて「伊達マスク」ともいわれています。

◆おしゃれで使うだけなら問題はありませんが、一方で精神科医などの専門家によって指摘されているのが、人の視線が気になるためとか不安感を軽減するためとしてマスクをつけはじめ、それが習慣化してマスクなしではいられないといった、いわゆる「マスク依存」の人の増加です。

◆マスクをつけると顔の半分以上が隠れ、個人が特定しにくくなります。また、人とコミュニケーションをとるときは、顔の表情が大変重要な役割を果たしているので、口の回りが隠れてしまうと何を考えているのかわかりづらくなります。

◆マスクをする側は、表情を隠すことで防衛的な感覚や安心感を得られる場合がある一方、周囲の人から見れば、一枚壁があるようで親しみやすさを感じにくかったり、かぜや花粉症などで具合が悪いのかもしれないなどと思い、スムーズな関係がつくりにくくなる可能性もあります。

◆専門家によれば、人と接することに過度に緊張や怖さを感じる対人恐怖症、社交不安障害や、自分の顔が醜いと思い込んで人目を避ける醜形恐怖をもつ人などは、マスク依存になることも多いといいます。病的なほど深刻な状態ではなくとも、衛生目的をこえて日ごろからマスクを外せなくなってしまっているのであれば、何らかの心の不安や問題を抱えているのではないかとも考えられます。

◆大人だけでなく子どもの場合も同様で、教室で授業中も伊達マスクをしている子どもが増えており、@マスクを外すと落ち着かないA外したくても外せないB家でも食事や入浴、睡眠中など以外は外さない、といった場合はストレスや不安がある、自分に自信がもてないなど、心理的な問題が背景となっていることも多いようです。

◆インフルエンザや大気汚染から身を守るために、意図して子どもにマスクをつけさせることもありますし、冷たく乾燥した外気がつらくてマスクを着用する場合もあるでしょう。しかし、クラスメイトにからかわれてマスクをつけ始めた、学校に行くときだけマスクを外せない、口数も極端に少なくなったなど、マスクを装着する行動が心のSOSなのかもしれません。

◆では、マスク依存の子どもにマスクを外させればいいのかというと、そうとばかりはいえません。とくに思春期の子どもは心が不安定で、ちょっとしたことがきっかけで不登校になったり、友人関係がこじれたりしがちです。そうした揺れる心の時期を、マスクをすることで乗り切れるのなら一概にマスクも悪いとはいい切れません。

◆マスクをする気持ちの中には、単に自分自身を見せたくないということだけではなく、「今の自分はダメだ」「こうあるべきだ」というような心理がみられることがあります。思春期の場合には、むしろそのような心理が弾みになって、勉強やスポーツでがんばることもあります。

◆一方、ちょっとしたことで傷ついたりすると、自分はダメだという気持ちが湧き上がり、周囲から隠れたい気持ちになります。しかし、社会の中でいろいろな経験を積んでいくうちに、「よいときもある、悪いときもある、しかしそれが自然な自分の姿、それを丸ごとあるがままに受け入れよう」というように、「今の自分のままでよい」という自己受容の気持ちが生まれてくると、自然と自分を隠す必要がなくなり、あるがままの自分を周囲にさらけ出しても大丈夫になっていきます。

◆心理療法としては、単純にマスクを外すのではなく、カウンセリングを受けながらマスクがなくても済むように段階を踏みながら進めるエクスポージャー法など、症状や必要に応じた治療が選ばれます。もしも、マスク依存が極端に強く心配なときは、精神科・心療内科などに相談をするのも選択肢の1つです。

(監修:東急病院 健康管理センター所長兼心療内科医長 伊藤克人/2020年4月14日)

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