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乳歯の早期脱落に注意! 低ホスファターゼ症

歯と骨の病気のかかわり

乳歯が生え、それが永久歯に生え変わるのが子どもの歯の成長です。生え変わる時期は通常5〜7歳ごろですが、非常に早くから乳歯が抜けてしまうときには、病気が隠れていることがあります。早期に発見することがとても大事です。

◆歯は生後3〜12カ月の間に生えはじめ、3歳ごろまでに上下20本の乳歯が生えそろいます。その後、5〜7歳ごろから12歳ごろまでにあごが発達し、乳歯が抜けて永久歯(28本+親知らず4本)へ生え変わるのが一般的な歯の成長です。

◆もちろん歯の成長には個人差があり、乳歯が生え始める時期や、それが抜ける時期もかなり幅があります。転んでぶつけて折れた、といったこともあります。しかし何の理由もなく、乳歯が不自然に早く抜け始めるようなことがあれば注意が必要です。もし4歳未満で、すでに乳歯の脱落が始まるような場合、「低ホスファターゼ症(HPP)」という難病が隠れているかもしれません。

◆低ホスファターゼとは、骨をつくるときに必要な「アルカリホスファターゼ(ALP)」という酵素が十分に働かないために、骨格を中心とした部位にさまざまな異常を起こす病気です。骨はカルシウムとリン酸が結合することで新しくつくられますが、結合に必要な酵素が不足し、骨の石灰化が阻害されて異常が起きるのです。

◆原因は骨の産生に関わる遺伝子(組織非特異型アルカリホスファターゼ遺伝子)の変異によることがわかっています。しかし、その異常がなぜ起きるのか、根本的な原因は不明です。

◆低ホスファターゼ症は遺伝性の病気で、ほとんどは「常染色体劣性遺伝」です。つまり両親が変異遺伝子をそれぞれもっていて、両方から伝わると発症します。一方で軽症の人のなかには、両親のどちらか一方が変異遺伝子をもっている「常染色体優性遺伝」の場合があることも報告されています。

◆症状は、生命が危ぶまれるような重症の場合から、関節が痛むなどの軽い症状までさまざまです。発症時期も、乳幼児から大人まで幅広く、一般に発症が早いほど重症なことが多い傾向にあります。

◆重症の場合は、四肢短縮で生まれてくる、胸部が狭く生後すぐに呼吸障害が伴うといったことや、歩行異常、腕や大腿骨などの湾曲、筋力低下、長期の筋肉痛・関節痛などが見られたり、てんかんや病的な骨折、体重が増えず発育が遅れたりすることもあります。

◆骨の生成に起きる異常は歯にも影響し、歯ではセメント質の形成不全が起きます。歯はセメント質によって歯槽骨と接着しているため、しっかり接着できなくなると乳歯が早く抜けてしまいます。乳歯の脱落異常は、早期発見の有力なサインです。気になるときは小児科や歯科へ相談してください。

◆低ホスファターゼ症は15万人に1人という大変まれな病気で、難病指定されています。これまでの治療は症状に応じた対症療法しかありませんでしたが、研究により不足する酵素薬が開発され、補充療法が行われるようになり、効果を上げています。

◆酵素補充療法は、早く行うことで予後が良くなる可能性も大だといいます。病気が周知され、早い発見と研究の進展が待たれます。

(監修:松下歯科医院院長 松下和夫/2020年6月4日)

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