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食物繊維の十分な摂取で死亡リスクが減少

豆や野菜をたくさん食べよう

食物繊維を多くとると、死亡リスクが下がるという調査結果は欧米では報告されていましたが、アジアからの報告はありませんでした。今回、日本人に対する調査が行われ、同様の結果が報告されました。

◆調査結果をまとめたのは、国立がん研究センターの研究チーム。全国各地域に住む45〜74歳の人のうち、1995年または1998年に食事調査アンケートに回答し、当時、がん・循環器疾患になっていなかった約9万人について、平均約16.8年間の追跡調査を行いました。

◆食事調査アンケートの結果から食物繊維の摂取量を計算し、摂取量別に5つのグループに分けて、摂取量とその後の死亡との関連を男女別に調べました。その結果、年齢、喫煙、糖尿病などの影響を除いて分析したところ、食物繊維摂取量が一番多いグループでは一番少ないグループと比べて、男性では23%、女性では18%、総死亡リスクが減っており、男女ともに食物繊維の摂取量が多ければ多いほど総死亡リスクが低下することがわかりました。

◆死因別にみると、循環器疾患の死亡リスクは、男女ともに食物繊維の摂取量が多いほど低下していました。がんに関しては、男性では同様の傾向が認められましたが、女性では食物繊維摂取と死亡リスクとの間に関連はみられませんでした。

◆食物繊維の摂取源ごとに死亡リスクとの関連を調べた結果、豆類、野菜類、果物類から摂取した場合は、摂取量が多い人ほど総死亡リスクが低下していることがわかりました。一方、穀類から摂取した場合については、摂取量と総死亡リスクとの関連ははっきりしませんでした。

◆欧米では穀類からの食物繊維についても摂取量が多いと死亡リスクが低下していたのに対し、日本でその傾向がみられなかったのは、日本では食物繊維が少ない精白米やうどんなどを主な穀類として摂取しているからではないかと考えられています。

◆では、なぜ食物繊維を多く摂取すると総死亡リスクが下がるのでしょうか。食物繊維自体には食べても栄養的な価値はありません。しかしながら、糖質の吸収をゆるやかにしたり、脂質の吸収を抑制させたり、ナトリウムを排泄して血圧を下げたりする働きがあり、それによって糖尿病や動脈硬化、高血圧を防ぎ、結果的に生活習慣病の予防に役立ち、健康にもよい影響が出るのではないかと考えられます。

◆また、食物繊維には水分を吸収して膨らむ性質があるため、満腹感が得られやすく、食べすぎを防いでくれる役割も果たします。

◆厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18-64歳の食物繊維目標量を男性は1日21g以上、女性は18g以上としていますが、実際の摂取量は14g程度で足りていません。理想的には1日24g以上とるほうがよいともいわれています。

◆日本人が現状の摂取量を目標量に近づけるためには、今回の研究結果をふまえると、豆類や野菜類、果物類からの食物繊維の摂取を増やすとよいということがわかります。たとえば、朝食に果物を1品増やす、昼食に大豆製品をプラス、夕食に野菜のおひたしを添えるなどです。

◆同時に、玄米や全粒粉のパン、シリアルなど、食物繊維の多い穀類をとり入れることで摂取量を増やすのもよいとされています。玄米が苦手な人は、あわや麦、きびなどを白米に混ぜるのも1つの方法です。豆類では納豆を多く食べる人は死亡リスクが低下するという研究結果もあるので、積極的に取り入れるとよいでしょう。食物繊維に注目し、日々の食生活を少し見直すことが、健康寿命を延ばすことにつながります。

(監修:目黒西口クリニック院長 南雲久美子/2020年6月11日)

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