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感染症対策の一環 FUSEGU2020とは?

高めよう!感染症リテラシー

来年開催予定の東京オリンピック・パラリンピック(通称:東京2020)に向け、外来感染症を防ぐため“FUSEGU2020”プロジェクトが発足しました。そのキーワードは「マスギャザリング」。日本感染症学会と日本環境感染学会を中心に、産官学連携で取り組む本プロジェクトの目的とは?

◆コロナウイルスの影響で来年に延期となった東京オリンピック・パラリンピック(東京2020)。2019年12月に感染症対策の一環として、産官学連携の“FUSEGU2020”プロジェクトが立ち上がりました。“FUSEGU2020”プロジェクトは2020年以降もFUSEGU2021、FUSEGU2022……と、長期的な活動をめざしています。プロジェクトの目的は、海外から持ち込まれた病原体による感染症の拡大を防ぐための正しい知識と対策の教育・啓発です。日本感染症学会と日本環境感染学会が中心となって、医療従事者だけでなく、一般市民や大会関係者も対象とした取り組みとなります。

◆2020年1月にFUSEGU2020発足記者会見が行われ、オリンピックのような国際的“マスギャザリング”における感染症対策の基本方針、@知らせて防ぐ(認知・理解度を上げる)A適切な予防手段で防ぐ(マスク、手指衛生、ワクチン)B産官学で防ぐ(協力体制を拡大する)の3つが示されました。

◆ちなみに、マスギャザリングとは、「一定期間、限定された地域において、同一目的で集合した多人数の集団(日本集団災害医学会の定義)」を意味します。国際的マスギャザリングには、オリンピックやサッカーワールドカップなどのスポーツイベント以外にも、万国博覧会、コンサート、宗教巡礼などの各種大型イベントがあげられます。

◆過去のスポーツイベントにおける感染例を見ると、2002年ソルトレイク・オリンピックのインフルエンザ、2006年ドイツ・サッカーワールドカップのノロウイルス、2010年バンクーバーと2014年ソチ・冬季オリンピックの麻しん、2016年リオ・オリンピックのジカ熱があります。

◆オリンピックイヤーである2020年は、年初より新型コロナウイルス(COVID-19)への感染が世界的に拡大。さまざまな対策が講じられるも感染の勢いは衰えず、東京2020の開催は来年に延期されました。

◆感染症の病原体にはウイルス、細菌、寄生虫などがあり、感染経路も飛沫感染、空気感染、経口感染、傷口からの経皮感染などさまざまです。基本方針の@にあるように、正確な知識を身につけて“正しく恐れる”ことが、感染を防ぐだけでなく、デマに翻弄されたり、過剰に行動を制限したりすることを防ぎます。また、日本ではまれにしか起こらない感染症の場合、臨床経験がほぼないため診断にたどり着くのに時間を要することがあるので、医療従事者が海外の感染症について知識を得ておくことは有益です。

◆基本方針Aの「適切な予防手段」のなかのワクチン接種については、事前に受けておきたいワクチンが具体的にあげられています。一般市民、医療従事者、大会関係者、報道関係者すべての人に強く推奨されるのが、麻しんと風しんです。風しんについては、妊娠初期の妊婦がかかると胎児に先天性風疹症候群をもたらすリスクがあります。とくに、これまで風しんの予防接種を受けたことがない人(1962年4月2日〜1979年4月1日生まれの男性に多い)は接種が望まれます。

◆このほか、接種が好ましいとされるのが、インフルエンザ、流行性耳下腺炎、水痘のワクチンです。なお、医療従事者や大会関係者など感染リスクが高い人に推奨されるワクチンには、髄膜炎菌と肝炎(A型・B型)があります。

◆基本方針Bの「産官学」の協力体制については、今回の新型コロナウイルス感染症の対応においても、さまざまな課題が浮き彫りになっています。指示命令系統のはっきりした対策本部の設置による、国・医療機関・自治体のスムーズな連携のしくみや、民間の協力や参加、情報管理などが求められています。

◆東京2020を来年に控え、今回の新型コロナウイルス感染症対応から得られる疫学情報や教訓をFUSEGU2020に盛り込み、より広く、強力に発信していくことが急務といえます。感染拡大を防ぐには、私たち一人ひとりが感染症リテラシーを高め、予防策を講じることがなにより重要でしょう。

◆基本的な手洗い、うがい、日常生活の場を清浄に保つ消毒は効果的な予防法です。できるだけ人混みを避け、また冷静な判断で適切な時期に医療機関を受診することが大切です。医療資源には限りがあるので、優先順位にかなった人に医療が十分に行き渡るように行動することも、感染を広げないことにつながります。



(監修:医療法人社団秀志会 松平小児科院長 松平隆光/2020年7月1日)

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