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虐待が疑われる子ども 過去最悪の9万7800人超

深刻な事態になる前に

警察庁の発表によると、2019年に、虐待の疑いがあるとして、全国の警察が児童相談所に通告した件数が、2004年に統計を取り始めてから最も多い9万7800人を超えたことがわかりました。どうすれば子どもたちを虐待から守れるのか、大人の子どもへの虐待を防げるのか。身近なテーマとして考える必要がありそうです。

◆全国の警察では、通報などにより子どもの虐待についての疑いを察知すると、児童相談所に通告します。児童相談所で、子どもの安否確認や一時保護をするかどうかなど、寄せられた情報に具体的に対応する体制となっています。2019年にこの通告の対象となった子どもの数は、前年比1万7590人増の9万7842人に上ることがわかりました。

◆少年の家出、徘徊、万引きなど警察の扱うトラブルや事件の背景には、虐待が隠れている場合も少なくありません。また、最近は痛ましい虐待死の事件が報道され、児童虐待への関心が高まって地域住民や一般の市民からの通報も増えています。通報は児童相談所よりむしろ警察へなされることが多く、6割以上を占めているそうです。

◆虐待をいち早く発見し、必要な措置をとるには、警察と児童相談所の連携が必要だといわれています。児童相談所で虐待かどうかの判断などをおこなう一方で、警察は必要に応じてパトロールの強化や、子どもの安全のための保護が相談所だけでは困難なときに要請を受けて支援します。

◆警察への通報の内容は、「子どもの激しい泣き声が聞こえる」「幼い子が外で長時間放置されているようだ」といったものから、「夫婦の怒鳴り声が聞こえる」「妻が殴られているようだ」といったようにDV(ドメスティックバイオレンス)に関する通報をともなうことも多いとのこと。DVと児童虐待がつながっている場合も少なくありません。また、子どもの面前でおこなわれる両親のDV自体が子どもにとって心理的な虐待環境にあるとして、問題視されているところです。

◆市民からの通報数が右肩上がりなのは、2004年(平成16年)に児童虐待防止法が改正され、それまでの通報義務は「虐待が明白な場合」だったのが、「虐待が疑われる場合」とされ、かつ通報者には責任が問われないと明記されたことも影響しているようです。また、痛ましい子どもの虐待死事件の報道が相次ぎ、心配な子どもを見かけたら、まず通報し、深刻な事態になる前に安全を確認することが求められるようになったからでしょう。

◆児童虐待は、必ずしも体に暴行を加えたり傷を負わせたりする「身体的虐待」ばかりではありません。言葉による脅しや罵倒、きょうだい差別、時には子どもの大事にしている物を捨てたり壊したりするといった、子どもの心を深く傷つける「心理的虐待」も含まれます。

◆適切な食事や衣服などを与えない、病院に連れて行かない、保育園や学校に行かせず家に閉じ込める、子どもを放置して外出するなどの「ネグレクト」(育児放棄)も虐待です。さらに子どもにわいせつな行為をしたりさせたり、見せたりする「性的虐待」も大きな問題です。

◆こうした虐待を防止するには、地域や保育園・学校など、近隣住民の目やつながりが大きな役割を果たします。周囲の人が子どもや子どもの家庭から出されているサインにいち早く気づくことが発見の大きな力になります。そして気がついたらためらわずに児童相談所全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」や、最寄りの警察に一報してください。

◆「189」へダイヤルすると、近くの児童相談所へ自動的につながります。通報は匿名でも可能で、その内容の秘密も守られ、たとえ誤報であっても通報者が責任を負うことはありません。通報を受けると48時間以内に子どもの安全を確認することが義務づけられており、専門の調査員が慎重に対応します。

◆子どもは周囲の大人からの虐待に対しては、自分が悪いからと自責の念をもったり、暴力的な親でも時には愛情をもって子どもに接することもあり、子どもはSOSを出しにくい傾向があります。その些細なサインに気づき、小さな声に耳を傾けて、社会的な支援につなげていく一人ひとりの行動が求められています。

(監修:医療法人社団秀志会 松平小児科院長 松平隆光/2020年7月20日)

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