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注目されている うつ病の運動療法

セロトニンが増える運動療法とはどんなもの? 再発率が低下という報告も

うつ病の治療といえば、抗うつ薬を中心とした薬物療法と休養が基本です。これに認知行動療法などのカウンセリングなどがよく行われていますが、ここにきて、注目されているのが運動療法です。研究発表では、特に軽症から中等症までの患者さんで効果を上げているということです。

◆うつ病の人の脳では情動(喜びや悲しみなど、激しい感情の動き)をコントロールする働きをもつセロトニンなどの神経伝達物質が減っていることが知られています。運動療法を行うことによってセロトニンを増やし、生活リズムを整えることなどが治療に有効だというのです。

◆運動療法がうつ病に有効であるという研究は、欧米ではすでに1980年代から始まっています。ひとくちに運動といってもさまざまな種類がありますが、たとえば米国デューク大学では、有酸素運動に着目しました。

◆そこで、うつ病患者を「抗うつ薬のみで治療するグループ」と、「抗うつ薬と有酸素運動を併用するグループ」、「有酸素運動のみを行うグループ」の3つに分けて、その有効性の比較実験を行っています。

◆結果は、うつ病の改善率はどのグループも60〜70%弱とほぼ同程度でしたが、10か月後の再発率に大きな違いが出ることがわかりました。

◆薬だけを用いたグループの再発率は38%、薬と運動を併用したグループでは31%でしたが、有酸素運動のみを行ったグループの再発率は、わずか8%にとどまったというのです。この実験により、有酸素運動を行ったグループは、再発率が目立って低くなることが示されました。

◆また日本国内でも、うつ病の治療に運動療法が注目されています。特に軽症患者に対し、朝日やそれに準ずる光線を浴びる光療法などとともに、散歩やウオーキング、軽いジョギング、水泳、自転車、ヨーガなどを適度に日常に取り入れることがすすめられています。

◆ある医師は、信州大学医学部スポーツ医科学講座が開発した、速歩きとゆっくり歩きを交互にくり返す「インターバル速歩」をうつ病治療に取り入れています。たとえば朝昼2回、速歩き3分とゆっくり歩き3分を交互に3回ずつ行う、といったような具体的なプログラムを、患者の体力や症状、年齢に合わせて指導し、3〜5か月行うことによって、多くの患者さんのうつ症状が改善するなど効果が表れているといいます。

◆近年はうつ病の患者さんに効果的なのは強度の高い無酸素運動であるとの見方もあることから、このインターバル速歩は、有酸素運動と無酸素運動の両方を組み合わせた運動療法として注目されています。

◆この運動療法は、特別な施設や道具は必要なく、誰でも、いつからでも始められ、強弱をつけることによって運動により集中したり、屋外で気分転換をはかりながら無理せず続けることができるなど、さまざまなメリットがあるようです。

◆薬だけの治療で改善しない患者さんにも効果が期待できる治療法といえますが、人によっては頑張りすぎてしまい、うつ状態が悪化してしまう場合もあるようです。また、うつ病の治療としては、どのような時期に運動療法を取り入れるのかを見極めることも大切です。

◆このようにうつ病だからといって全ての患者さんに運動療法の適応、効果があるわけではないため、運動療法を専門とする医師による診察、指導を受けることが大切です。

(監修:東急病院、東急健康管理センター所長 伊藤克人/2011年6月1日)

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